ニンニクとジャコのパスタ。

ワークショップの講義が終わって雑談をしている時だった。参加者のひとりが「近頃撮った写真です」と言ってキャビネに伸ばしたモノクロプリントを見せてくれた。

誕生日だったのだろうか、小さな女の子が今まさにケーキの上のろうそくを吹き消す瞬間がワイドレンズでちょっと引き気味に撮られている。

女の子の回りには6.7人の大人が取り囲んでいた。笑っているもの、手をたたいているもの、視線はすべて女の子にそそがれている。そこにいる全員が彼女のことを愛しているのが分かった。その写真を見て胸が熱くなってしまった。

女の子が思春期にになったら辛いことも出てくるだろう、生きていくのが嫌になることもあるだろう。
でも、そんなときこの写真を見たら「自分が愛されて育ってきた」のが一目で分かる。自分を愛して認めてくれる人が、少なくとも写真に写っている数だけいるのを知ることができる。

信販売の「ジャパネットたかた」のテレビCMに、とても好きなシリーズがある。

中年の男が、古い映像を見ている。海で遊ぶ父親と子供のホームビデオのようだ。そこへナレーションがかぶる。「子供の頃の自分を見て喜ぶやつはいない。僕は自分の年と一緒だった父親の姿を見ている。」最後に「自分の子供のために自分を撮っておこう」とつながる。

自分を愛してくれた人の姿を見たい。それが記念写真の形なのかもしれない。