仕事帰りに北の丸公園、国立近代美術館の「木村伊兵衛展」へ。
何度も見た気がしていた木村伊兵衛だったが、戦前の「花王石鹸」の宣伝写真から戦中の国威発揚写真、戦後のドキュメンタリーと全てを網羅していて、始めて見る写真が多かった。
特筆物は、木村伊兵衛自身が焼いた「オリジナルプリント」が展示のほとんどを占めていることだ。特に当時の写真展用にプリントされたものはセピアの調色が施されてありとても美しい。昔の印画紙の銀の力を感じさせる。
有名な「秋田の板塀」の写真は、このプリントを見ないと良さは理解できない。彼自身は写真を「印刷媒体」を通したメディアと考えていたが、木村伊兵衛の写真はオリジナルプリントにすべてがあると感じた。
今まで見た木村伊兵衛展のなかでは一番良かったと思う。12月19日まで。
近代日本の美術常設展と同時に見ることができるのだが、その中に北井一夫の「村へ」のシリーズがあった。こちらも「凄い」としかいいようのないプリントだ。最近作「北京」とのトーンの違いに驚く。