「8×10展」と「駄カメラ展」

美術史本講座は11日日曜日の夜8時から。

朝=きつねうどん、茹で卵/夜=鳥唐揚げ、トマトときゅうりとチーズのサラダ、べトナム風炒飯

8×10グループ展の搬入に東陽町の区民センターへ。毎年大型カメラ縛りのグループ展が10年以上続きていて、僕も数年前から参加している。このデジタル時代に大型カメラをわざわざ使っている「変わり者」の集団なので居心地がいい(笑)。なにせフィルム1カットが千円くらいする。カメラだって特殊。わざわざ費用対効果で考えたら一見無駄なことをやっているのだが、これが写真を撮っている気にさせてくれる。

今年は新宿ゴールデン街の「こどじ」で撮影したものを2枚展示している。このグループ展がなければ、8×10のカメラを使うことはないだろうな。一旦離れてしまうと戻れなくなってしまって、選択肢をひとつ手放すことになる。なのでこのグループ展は僕にとって重要。

東陽町から小伝馬町へ出て「Monography」に行ってみた。まずビルの1階にあるアイアイエーギャラリーで「駄カメラ展」を見る。これは3000円以下で買ったカメラを使うという縛りでの展示。これが面白い。すべてフィルムカメラで撮られているのだが、モノクロの方が多かった。カラーフィルムが入手困難ということも影響しているのかもしれないし、自分でプリントするためにモノクロを選んでいるというのもあるだろうな。

「Monography」はアイアイエーの2階にあって、写真集や雑貨、ギャラリースペースもある。写真家の上田晃司さんとコムロミホさんが運営している。上田家には一度インタビューで自宅に伺ったことがある。今回は上田さんのルート66を撮影した作品の展示をやっているというので見に行ったのだ。ステファン・ショアを彷彿させるオンザロードの写真が並んでいる。作品集も出ていたので購入。これはライブ配信の時に紹介しようと思っている。

上田さんはデジタルハッセル使いで、すでに1億画素のXD2のレビューもYoutubeでやっている。「普通に使いやすいカメラになりました」ということで、早く触ってみたい。新型レンズを付けるとおそらく160万円から170万円。ちょっと前までだったら500万円はするようなスペックなんだけど、安いとは言えないよなあ。

 

<2021年9月11日の日記から>

午前中に用事を済ませて東京都写真美術館へ。まず2階の「宮崎学 イマドキの野生動物」。カメラを「けもの道」に設置して、そこを何かが通った時にセンサーが感知し自動でシャッターが切れる。これによって撮られた写真は人間が介在しないせいで本来の姿のまま写る。通常は望遠レンズで捉えることの多い動物写真が、触れるくらい近くで写っている。動画もあったけど、写真のほうが全然面白い。じっくりと細部まで見る楽しさ。これまで見てきた動物写真展で一番面白かった。

3階は「リバーシブルな未来 日本・オーストリアの現代写真」。

“日本とオーストラリアという二つの国にはそれぞれの歴史的背景があり、そこに住む人々は独自の精神文化を培っています。しかしながら、グローバル化が急速に進むなか、想像をはるかに超える出来事が日々当たり前のように起こる現代では、私たちが国という枠を越えて共有できるものはますます多くなっています。”   (東京都写真美術館のホームページより抜粋)

 個人的には横溝 静の作品が見られたのは思わぬ収穫。中々出てこない作家なので。オーストリアの作家をまとめて見たのは初めて。ヨーロッパとアメリカから離れた文化は日本文化と親和性があるのかもしれない。地下では沖縄の女性作家「山城千佳子リフレーミング」をやっている。ほぼ映像作品で奥の会場でやっているのは「映画」。何となく1970年台日活時代の大島渚を彷彿とさせる。思わず30分くらい見ていた。1階に戻ったらちょうど映画の上映が始まるアナウンスがあったので内容も知らずにが飛び込んだ。どうやら世界の秀作アニメの上映のようだ。「ナタ転生」という中国の3DCGアニメだった。映像は素晴らしいのだが、僕にはストーリーが1ミリも刺さらず「萌え」要素もゼロ。配信で見ていたら30分で脱落していただろうが、2時間きっちり見てしまった。誰かがゲームをしている画面を横から見ている感じで、内容は「京劇」にある孫悟空の冒険か三国志。今日は違う文化を垣間見る日だったということだ。

 

<2008年9月11日の日記から>

10日夜に帰国。ギリシャのミコノス島から成田までは、ほぼ24時間かかる。でもラッキーなことにビジネスクラスにアップグレードしてもらうことができた。今のビジネスクラスって座席が完全にフラットになるのね。ものすごい楽ちん。今回はヒオス島、サントリーニ島、ミコノス島、世界遺産のデロス島を巡ってきた。毎朝、日の出とともに起きて撮影を終えてホテルの自分の部屋に戻るのが12時過ぎ。日本じゃ考えられないくらい働いた。編集者もライターもコーディネーターも凄い人ばっかり。何が凄いって経験も機転も体力も兼ね備えている。ライターの女性なんて世界で行ったことのないところはないんじゃないかというほど。小脇にかかえたバックからは、魔法のポケットのようになんでも出てくる。お醤油にワサビにショウガに柚子胡椒。カリカリ梅にレモンにカッパえびせん。船で酔って青い顔をしていると、さっとバックの中から酔い止めの薬トラベルミンが出てくる。トラベルミンなんて小学校以来だが劇的に船酔いにきく。飛行機の乗り遅れ、ホテルトラブル、取材不許可、毎日のように降りかかるトラブルを笑い飛ばしてしまえる彼女のバイタリティのおかげで、取材中なんの不安も感じずにすんだ。リゾート地で恥ずかしかったのだが、カメラマンベストを着用して撮影。デジタルとフィルムを使い分けながら島を撮影していった。さっそく今日、ポジフィルムを現像にだして仕上がりを確認する。ラボのライトテーブルに並べる時はいつでもドキドキする。デジタルで同じカットは撮っていて確認ずみなのだが、フィルムだと別物のように写っている。そのなかで1枚、ルーペを覗いていて声をあげてしまったカットがあった。絶対デジタルでは無理というほどの鮮やかさ。ヴィヴィッドなのに嘘っぽくない。10日間苦労したかいがあった。

 

アワガミのインクジェット用紙を数種類試している

朝=玄米のトマトリゾット/おやつ=台湾風カップ焼きそば/夜=キャベツとササミの和サラダ、蒟蒻ピリ辛煮、味噌豚の炒飯

昨年、松本周辺を撮影したシリーズは『da.da』というタイトルで小型ながら写真集にまとめたのだが、10月にルデコで、2月には別の場所でプリントの展示をすることになっている。ルデコでは大型プリントをするのだが、2月の会場ではどうしようかと思案中。同じことはやりたくない。まったく別のものにしたい。今までやったことのないことが一つある。デジタルで撮影してモノクロにプリント。個人的には何度もやっていることだが、個展ではやったことがない。ちょうど小澤太一さんの展示を見たこともあって、モノクロプリントをテストしてみることにした。

PCのモニターでは感じが掴めないので、20枚ほど、いろいろな用紙を使ってプリントしてみた。調整はLighyroomがメインで、出力はPhotoshopから行ってみた。試してみた用紙の中ではもちろんバラいた調整は厚手が一番データが出るのだが、アワガミの和紙で「プレミオ雲流」や「びざん純白」が相性が良さそうだった。まだまだ実験段階だけど、デジタルモノクロも面白い。

 

<2021年9月10日の日記から>

日記を見てくれている人から「ヨコイのソースって何ですか?」とよく聞かれる。名古屋近郊でしか手に入らない「あんかけ胡椒味パスタソース」のことで、ちょっとした中毒性がある。適当に野菜とソーセージでも入れて軽く温めればOK。てっきり愛知県で有名なのかと思えば名古屋中心部でも手に入らず、意外と地域限定なんだそうだ。とここまで書いて、もしやとAmazonで「ヨコイのソース」で検索したらちゃんと売ってた。これでいつでも注文できるが「名古屋でしか手に入らない」という希少さが味に深みを出していたかも。もともと喫茶店のメニューだったらしい。「名古屋あんかけ文化」の結晶。写真集制作の相談を受ける。最近の出版社が出す写真集としては、定価2000円のものと、税込5000円くらいの価格設定が多いようだ。2000円のものは3000部、5000円のものは600から1000部を制作することが多い。となると、全部売り切って300万円から600万円の売り上げ。ただし、書店流通した場合、出版社に入ってくるのは、総売り上げの約半分。経費で一番大きい印刷費は、部数にはほとんど関係なく150万円から250万円くらいかかる。だから商売としての旨味はほとんどなくリスクばかり大きいので、大手の出版社が写真集制作に乗り出すことは、蜷川実花か石川直樹くらいメジャーな存在でない限りほとんどない。今は書店流通を通して写真集を売るのはかなり難しい。基本は手売り。そのため規模が小さく、小回りがきいて直販の販路を持っている出版社だけが写真集を出版している。最近では、手軽に誰でもオンライン印刷で写真集を制作できるから、作るのは簡単になった。でも売るのは難しい。本屋さんに写真集を置いてもらうことで売れるという時代はとうに終わって、個人的なネットワークで広げることが重要になってきた。SNSやYoutubudeで3万人以上のフォロワーがいる人なら、300部くらいはすぐに捌けるから、一部からでも注文できるオンデマンド印刷を使って定期的に出すことも可能だ。以前は写真集を出すことで存在を知ってもらうことができたが、今は認知度が高い人でないと写真集も流通できない。良い写真集(歴史的に残す価値がある)と、売れる写真集はイコールではない。でも売れないと残ることも難しい。

 

<2013年9月10日の日記から>

 しまなみ海道に入ってからはずっと雨。しまなみ海道の大島に2泊し、尾道に渡った。映画でよく知る町だが、来たのは初めてだった。ケーブルカーに乗ってお寺を見て、街並みを散策しようと思ったら雨。傘をさしていても濡れるくらいだ。そうなるとアーケード街を行ったり来たりくらいしかできない。せっかくここまできたから、ということで雨を承知で鞆の浦まで車を出した。宮﨑駿監督が長逗留してポニョが生まれた港町だ。尾道から1時間くらいで着く。運よく雨が上がり歩くことができた。20年前に来たかったなあ。その間、尾道はずっと雨だったらしい。翌日は尾道から島根に抜けるつもりだったが天気予報では山陰地方は大雨注意報が出ている。しかたがないので一日早く戻ることにした。尾道から神戸に寄ってギャラリータントテンポに行き、名古屋で友人とご飯を食べるつもりが、どうやら雨雲と一緒に動いてしまったようだ。高速道路でものすごい豪雨になって、前が見えないほど。まるで川の中を走っているようだった。神戸をあきらめ、名古屋に着いたら携帯に「緊急避難情報」が。今すぐ避難しなさいって言われても着いたばかりだし。なんとかホテルに入るも、友人との夕食会は当然中止。翌日東京に戻り11日間の旅は終了。結局晴れたのは火、水、木の3日だけ。全走行距離2500キロ。車で四国まで行けたので九州も大丈夫なんじゃないかと思った。月曜日、撮影した22本の現像が上がった。25本かと思っていたら22本の数え間違いだった。ベタ焼き作ってじっくり見る。いつもと同じようなものが写っている。意識は変えたつもりでも体は変わらないというか。2枚くらい残れば上等。

 

1年ぶりのdp2

朝=マグロの漬茶漬け/夜=新高円寺の香味園

毎年ワークショップのグループ展を渋谷のルデコでやっていて、数年前からその中で「フォヴィオン会」といのが生まれた。シグマのフォヴィオンセンサー縛りで撮影されたものをプリントして展示するもので、20名近くが参加している。しかし現在フォヴィオンセンサーのカメラのdpシリーズは生産が中止されていている。にもかかわらず人気があって、しかも現行のクアトロよりも一世代前のメリルをわざわざ中古で探して買っているのが多い。僕もその会に参加しているので、展示のためにプリントを作らなくてはならない。なので毎年この時期になるとdpクワトロを引っ張り出すことになる。今回はdp2を使うことにした。45ミリ相当の画がちょうどいいし、写りもシリーズ4機種の中で一番素直。各自の自由な展示の他に、フォビオン共通課題があって、今年のお題は「室内」。なので家の中を連日撮り回っている。カメラの液晶モニターではわからないが、パソコンで確認すると、相変わらずすごい写りをしていて驚く。RAWで撮影して調整が必要だと言われているが、ただ画像を開いて保存するだけで、すごい絵ができてしまう。他のどのカメラとも違うからファンが多いんだろうね。新型センサーのフォヴィオン機が開発中ということで「フォヴィオン会」もまだ存続できそうだ。エプソン  のプリンターでA3ノビプリントにしてみた。その出来上がりにひさしぶりに「俺って天才」って思った。

 

<2021年9月9日の日記から>

水曜日はいつも夜8時からライブ配信なので、ご飯は夕方5時に食べるのが習慣になっている。割と軽めの丼ものを作ってもらうことが多いのだけど、妻が所用で2日間家にいないので、自分でご飯を作る。作ると言ってもかなり手抜きだが。冷蔵庫に炊いた玄米があったので、二日間チャーハン。それもカップヌードル塩を使ったもの。一時Youtubude紹介されてバズったやつ。まずカップヌードルを容器から出してジプロックに入れて叩いて砕く。一人前の場合は半分の量でいい。一度容器に戻してヒタヒタになるまで水を入れてふやかしておく。フライパンに油を薄く引いて溶き卵とご飯を投入。軽く火が入ったら先程の戻したカップヌードルを投入し炒める。これだけで信じられないくらいパラパラで美味しいチャーハンができる。適当に野菜を入れればお店レベルのものができてしまう。一人前でカップヌードル半分なので2日間作ったわけだ。ライブ配信では「ユージン・スミス展」のことについて話す。壁を塗ってカメラアングルも変えての配信。以前のアングルとどっちがいいかな。背景の青い壁にもう1灯足したいところだ。そうなるともっといい感じになるはず。


<2005年9月9日の日記から>

朝ヨーグルト、昼お蕎麦、夜少なめアルコール抜き。という生活を10日続けたら身体に変化が出てきた。まず疲れない。歩くのが平気になった。今日も中野まで30分の道のりを歩いた。中野での用事が済んだところへギャラリーパストレイズから「馬場さんのプリントが用意できた」と連絡があった。横浜では遠いので、丸の内パストレイズで引き取ることにしていたのだ。中野から東京駅までは電車で一本、早速引き取ることにした。丸の内パストレイズは、取り壊される予定の八重洲ビルの地下に、来年5月までの期間限定でオープンしている。以前レストランがあったところだ。広くて雰囲気がいい。馬場さんのプリントを確認して引き取る。早くじっくり見たい。額はどうしようか。木製でもいいな。そのまま銀座へ。「銀一」でEOS5Dの予約を入れる。10月中旬になりそうだという。そこから銀座ニコンサロン歩く。銀座ニコンサロンは場所が変ってから足が遠のいていたところだが、編集者のタカザワさんが「とてもいい」とメールをくれたので行くことにした。中込 コイチ写真展「ストリートプレッシャー 」。会場は20数枚の大型インクジェットでプリントされたモノクロ写真が並んでいた。内容もさることんがら、大きさがとてもよかった。ストリートの緊張感が見えてくる。すれ違いざまの一瞬を掠め取るのだが、中込さんの写真に暴力性は感じない。大げさに言えば愛を感じるのだ。作者に話を聞いたら、やはり先月日記に書いたストリートスナップの鈴木さんと旧知の中だと言っていた。二人ともきちんと東京を撮っている。会場に流れていた映画「タクシードライバー」のサントラが東京の写真にあっていた。嫌いだった銀座ニコンサロンがとてもよく見えて、思わず会場貸し出しのための申込書をもらってきた。いいものを見たので調子付いて目黒美術館市民ギャラリーに「第4回プリンターズ展」を見に行く。写真のプリントを専門に職業にしているプロフェッショナルプリンターたちの集まりで、一人の写真家の同じネガを、それぞれの解釈でプリントしている。プリンターの解釈によって表現される意図すら変ってくる面白さがある。「この焼き方好きだな」と思うと必ず「大場あすか」と名前があった。トーンの好みが一緒のようだ。一度プリントをお願いしてみたくなった。

1億画素

朝=鮭の玄米パスタ/おやつ=焼きそばパン半分/夜=マグロの漬丼、味噌汁

水曜日はライブ配信。システムも完成し、音問題も完璧にクリア。ところが準備段階では問題なかったマイクを繋ぐミキサーが突如壊れた。配信まで20分を切っている。最初は電池切れだと思っていたが、交換しても電源が入らない。慌てて代替えのものを繋いだが、ちょっとだけノイズが乗ってしまう。今年の1月に買ったばかりのもので、まさか故障するとは思わず保証書が見当たらない。どこにやったかなあ。

配信はなんとかできた。内容は写真展を二つ紹介して、最後に新進作家展のこと。配信で何度も「個人の好き嫌いじゃなくて、現在の写真を東京都写真美術館はこう考えているということ」と言っている。どうしても写真というと「記録」という要素だけに引っ張られてそれ以外のことが語られることはほとんどないから、新進作家展はいい企画だと思う。

自分の配信が終わってからハッセルブラッドの新製品発表のニュースを上田家のライブ配信で見た。上田晃司さんは数少ないハッセルを仕事に使っているプロだし、何よりいつもすごく丁寧に解説してくれるので多分公式より見やすい。1億画素、7段分の手ぶれ補正、高性能AF、瞳AF対応、内蔵メモリ1テラ、新設計レンズ3本。さすがDJI、盛り込んできた。この性能だと「1億画素とかいらない」とは言えなくなるよな。これは早急に触ってみたい。値段はライカM11と合わせてくるんじゃないかと考えるとボディが日本円で120万円くらいになるんだろうか。レンズは1本40万円? 円高がかなり影響してくるのは間違いないね。

 


<2021年9月8日の日記から>

写真家ユージン・スミスがジョニー・デップ主演で映画化され、9月末から公開される。それに合わせるようにお茶の水の「ギャラリーバウハウス」でユージン・スミスの写真展が7日から開かれている。初日に見に行ったのだが。なぜフィルムと印画紙でこれだけの情報量が出せるのか不思議でしょうがない。ユージン・スミスのモノクロプリントは印刷では絶対にわからない。何度か美術館で見ているがその度に驚く。それが今回の展示では70点もまとめてみることができる。文章でプリントの凄さを言ってもしょうがないので、これは見に行くことをお勧めします。地方から出てくる価値があります。そしてギャラリーだからプリントを買うこともできる。それが彼自身のプリントにもかかわらず20万円から40万円なのだ。映画化されるほどの作家の代表作プリントが40万円で買える。他のジャンルでは考えられない。2年前にYoutubeで配信を始めてから、ずっと部屋の壁を塗りたいと思っていた。そしてついに部屋の一面を濃い青緑に塗った。今回はひとりで。リビングと玄関の壁を友人に手伝ってもらって塗った経験から、養生さえしっかりすれば大丈夫だということがわかったのでチャレンジしてみたのだが、なかなかいい感じに仕上がった。水曜日のライブ配信は今までとちょっと違ったアングルにしようと思っている。

 

<2017年9月8日の日記から>

エリックの写真集に「明天会更好-明日よくなる」というのがあったなあ。月曜日までそこにいたのに。朝起きても家の中は静かだ。家の中にいると、特にひとりでいるのが辛い。妻と美術館やギャラリーをはしごする。食事も外食ですます。娘も仕事から家に帰って来たくないという。脳は開いた穴を、なにか物質的なもので埋めようとするようだ。妻は携帯を変え、僕は前から気になっていた富士フィルムのスクエアチェキを買った。6.2センチ角の正方形チェキのプリントは、6センチ角のローライで撮ったカラーベタのサイズとほぼ一緒。馴染みがある。こういう時はネットショッピングではダメで店舗で買わなくてはならない。新宿ヨドバシに行って価格交渉をして買うことを楽しんで手に入れた。すぐに喫茶店に入り箱からカメラを取り出してセッティング。フィルムを入れて向かいに座る妻を撮ってみた。暗い店内なのにとても発色がいい。ちょっと広角な画角も使いやすいし、かなり寄れる。でも感度は固定式のようで、そんなに高くない。デジタルカメラとインスタントカメラのハイブリッド(古い表現だなあ)で400万画素のデータが残る。そのくらいで十分だ。16ギガのメモリーを入れれば1万5千枚撮れる。カードの交換とか消去とかしなくていい。家に帰ってチェキを触っていると「ああ、もっと早く買っておけばあいつを撮れたのになあ」とまたメソメソするのだった。

すごいことやってる

朝=ひき肉のスパイスソースのソーメン/夜=レンコンとカボチャのきんぴら、ゴーヤときゅうりと鶏肉のサラダ、豚と大根でルーロー飯、豆腐とワカメのお汁

毎年、東京都写真美術館で新進作家展をやっていて、その年の写真の動向を見るのに重要なものになっている。木村伊兵衛賞の前哨戦的なところもあり、昨年新進作家展に選ばれていた吉田志穂さんは今年の木村伊兵衛賞を受賞している。その新進作家展がヤバいという噂を、始まる前から聞いていた。すでに写真ではないと。全ての展示が「じゃない写真」らしいのだ。9月2日から始まっているので、早速行ってきた。噂は本当だった。見ていてニヤニヤがとまらない。面白すぎる。これは全写真関係者必見。東京都写真美術館は写真を捨てたのだ。すごいことやってる。キュレーターは若手だろうな。これが2022年の写真だというメッセージだ。おそらく非難殺到だろう。だって、写真じゃないんだもの。『じゃない写真』を書いた身としては「ですよね」という感じ。写真は拡張している。それを認識すための新進作家展ということだ。7日(水)の2B Channnelのライブで取り上げるつもり。

 

<2021年9月7日の日記から>

今まで頑なに日記とSNSを連動させていなかったけど、試しにしばらくの間Facebookに繋げてみることにした。2日間やった結果は、ほとんどページビューは変わらないということ(笑) 。20年間続けているけど日記をたくさんの人に見てもらうというのはなんか変な感じ。8月から過去日記も一緒に載せている。15年前のことでもかなり覚えているものなのだな。最近は午前中に映画を見ている。本日は「インターンシップ」。Google社の採用を目指したコメディ。多様性の重視がテーマ。それと、最近はまっているのがアニメ「Sonny Boy」。絵を見てあっと思ったのが「これって江口寿史の絵だ」ということ。案の定キャラクターデザインがそうだった。Amazonで8話出ているけど、徐々に面白くなっていく。設定も謎だし、状況説明もない。一話ごとに話が飛ぶ。楳図かずおの「漂流教室」みたいなものだ。哲学アニメというか不条理ものというか、時間や空間の複層性の話しなんだけど、社会制度や生きる意味とかも含まれている。でもちゃんと面白い。9月の一押し。

 

<2006年9月7日の日記から>

九段下にある東京国立近代美術館で、「所蔵作品展 近代日本の美術」と題した収蔵品展をやっている。その写真コーナーで、北井一夫さんの「村へ」のビンテージプリント26点が展示されている。ずっと見たいと思っていたが、月曜日はお休みだし、午後5時でおしまいだし、なかなか行く機会がなかった。ようやく今日撮影の帰りに寄ることができた。昨年開催された木村伊衛兵展の時に数点、別コーナーで北井さんの「村へ」が展示されていて、そのプリントの強さに驚いた覚えがある。今回は26点と、一コーナーを使っての見ごたえのあるものだった。「村へ」は、近年あらたに北井さん自身が再プリントしたニューバージョンを一通り見せてもらったが、やっぱり当時プリントされたもののほうがいい。近代美術館の常設展には、他の写真も多く展示されていた。その中で一番驚いたのがスティーグリッツが撮影したオキーフのヌードと、手が写ったものの本物が展示されていたことだ。この2点は昨年の海外オークションで、それぞれ1億円以上で落札されている。キャプションボードには「オキーフ贈」とあった。どういう経緯で収蔵されたかは知らないが、まさか今回見れるとは。特に手の写真がいい。人の肌の美しさを感じてしまう。ついでだからと見た企画展「モダン・パラダイス」は見ごたえ十分の大満足。これまた写真の展示も多い。クーデルカのプリントが1点あった。初めてオリジナルを見た。近代美術館おそるべし。見終わって出た頃にはグッタリとなった。昨日といい、今日といい、東京に住む喜びを感じてしまった。

僕も46歳だ

朝=冷し中華/夜=高円寺「フジ」の定食

9月6日(火)から銀座キヤノンギャラリーで小澤太一写真「赤道白書」が開かれるという案内をもらったので、2B Channnelでインタビューさせてもらうことにした。赤道をまたぐアフリカの国々を撮ったもので、モノクロでまとめられている。会場まで行って収録して、帰宅後すぐに編集して、小沢さんにチェックしてもらって、翌日公開というスピードでアップできた。「小澤太一インタビュー」

https://youtu.be/08RGFE0ABVU

最近、45歳くらいの人と縁がある。小澤さんも46歳だそうだ。先日コラボライブ配信した鈴木心さんも、鈴木麻弓さんもそうだし、そのほかにも45歳の人が周りに多い気がする。自分が45歳の時と、彼らは圧倒的に経験値が高くて驚く。しかし考えてみれば僕が45歳の時に同年代でものすごい経験をしている人はたくさんいたはずで、でも彼らとは接点がなかっただけなのかもしれない。僕はその頃何をしていたんだろう。そうだ冬青で初めて写真展を開いたんだ。そこがスタートだとすると、普通は30歳がデビューだから僕は人より15年は遅れている。ということは今、僕は46歳ということになる。

 

<2021年9月6日の日記から>

zoomによる美術史講座(有料)4期目が始まった。今回は近代から現代にかけての部分をフランス・ソルボンヌ大学で美術史を学んだTさんに、前回の講座の資料と録画した動画を見てもらったことで、より正確な情報を伝えることができるようになった。初回の講座の質問タイムでは、こちらがタジタジなるような鋭いものが多くて面白かった。土日の午後は学生たちとZOOMでやりとりするのだが、以前も書いたけど、ひとり面白いのがいる。彼の写真の傾向から、志賀理恵子の写真集『螺旋海岸』を進めたのだが、今ではもう品切れで版元の赤々舎にも在庫がなかった。それを、学生でありながら18000円出して中古で買ってしまった。しかも副読本の「螺旋海notebook」まで買って読み込んでいる。彼と「志賀理恵子とは何者か」ということで盛り上がる。こんな話ができるのは写真関係者でもかなり少ない。僕は写真にできることは「伝える」ことと「残す」こと、それに「考える」ことだと思っていて、現在「伝える」という点においては以前のような強さはかなり薄れてきた。あとは「残す」と「考える」で、この二つは意外と密接に関わっている。現在を残すことで考えることができる。この辺りを今の学生に伝えているのだが、なかなか難しい。「伝える」写真の方が明快でやっていてスッキリするからね。

 

<2012年9月6日の日記から>

昨日は田原総一郎氏、今日は船橋洋一氏の話が聞けた。世界はこうなっていたわけね。10月1日からはネパールだ。何のカメラを持って行こうか。実はライカMモノクロームを3日間だけ借りて使った。M9をモノクロモードにすれば一緒じゃないか、と懐疑的だったが結論からいうとスバラシイ。シャドーの粘りがいいとかハイライトがどうだとか、高感度が使えるとか、そんなんじゃなくて、撮影していて気持ちがいい。M8、M9をモノクロモードにした時は使える機能の制限、という気がしていたがMモノクロームはモノクロしか撮れないというのがいさぎよさいい。時間がなかったので、夜に駅から自宅まで撮りながら帰ったのだが、面白くていつまでたっても家にたどり着かない。もし、いきなり年収が10倍に増えるようなことがあれば(写真集が売れるとかね)絶対買う。普通のM9じゃなくてモノクロームのほうがいい。だって古くならないんだもの。モニターは相変わらず見づらいし処理速度も遅いが、そんなの些細なことだ。ライカのM型がなんでいいかといえば、ピントがきっちり合うことだ。開放で撮っても驚くほど合っている。感度を1600〜2500にすると、ノイズではなく粒子が出てくるのに気がついた。これが美しい。しかし、いかにスバラシイとはいえ軽自動車一台のカメラを買うわけにはいかない。ネパールに何を持っていくかは当日の朝まで決まりそうにない。

 

2回のプレ講座も無事終了

朝=あんかけ玄米パスタ/夜=ナシゴレン、豆腐とカボチャのスープ

半日かけて横浜のギャラリーに出すグループ展用のプリントを額装する。ローライ+ネガカラーで撮影したプリントをひとつの額に2枚づつ配置。今年冬青でやった『午後の最後の日射』と同じ形だ。2セット計4枚を新たにプリントし直す。当初はシールの超光沢ペーパーでいこうと思っていたが、結局バライタにすることにした。タイトルは「日傘を差す女と夏の日のフラクタル」。

夜、プレ講座の2回目配信も無事終了。と思いきや、録画を忘れていた。幸い音声だけは別撮りしていたので、そこにパワポをかぶせればいいのだが。編集が大変そうだなあ。2日間で300人の視聴があった。視聴いただいた皆さま、ありがとうございます。プレ講座としては過去最高だった。両日とも講義後の質問が多く盛りだくさんな講座になったと思う。あとは来週11日(日)から第6期「美術史講座」が始まる。ただいま絶賛募集中です。

https://satorw.hatenadiary.com/entry/2022/08/29/171644

プレ講座は夏休みの宿題みたいなもので、それが終わってようやく通常モードに戻る感じだ。

 

<2021年8月5日の日記から>

前回の「2BChannnel」ライブで「コダクローム」の話をしたら「さようならコダクローム」という映画があると教えてもらった。Netflixに上がっていたので、一度退会していたのだがアカウントを作り直して朝ごはんの後に見た。コダクロームは、1936年にコダックから発売が開始された世界初のカラーフィルムで、第二次世界大戦中から使われ、2000年までは多くのカメラマンが愛用してた。感度は低いのだが、色が濃くて独特の発色をする。ソールライターの赤や黄色は、まさにコダクロームの色調だ。しかし通常のカラーフィルムと全く構造が違うため、現像機が特殊で日本では2箇所でしか処理ができなかった。そして2010年12月30日、カンザス州のドウェインズ・フォトが世界最後のコダクロームの現像を終えた。映画は有名カメラマンの父と音楽プロデューサーの息子のロードムービー。冒頭に『イージーライダー』の腕時計を投げ捨てるオマージュがある。写真好きなら間違いなく楽しめる。最後の方に、現役のマグナム写真家、スティーブ・マッカリーが実名で出てきた。故人を葬るときに、カメラマンが列をなしてストロボを焚いていた場面はグッときた。これは戦地で亡くなった報道カメラマンに向けて行われるものだ。僕が最後にコダクロームを使ったのは2001年7月のニューヨーク。9.11のほんのちょっと前。もう20年前だ。今でも家に1本だけ未使用のコダクロームがとってある。

 

<2003年9月5日の日記から>

ああ、毎日ダラダラとしてます。8月はあんなに忙しかったのに9月の声を聞いた途端にぱったりとヒマになってしまった。どこか行こうかと思っていたが、なんだか気乗りせず江古田でゴロゴロしていた。半年ぶりくらいにパチンコに行ったら3万5千円も儲かってビックリ。消えてなくなる前に速攻で焼肉を食べに行く。はじめの2日くらいはジタバタしていたが、4日目になってもうダラケがしみてしまった。そんなだらけた毎日にぴったりきたのが須藤真澄の『おさんぽ大王』というコミック。本屋に積んであった8巻目をなにげなく手に取ったらツボにくるものがある。試しに買ってみたら完全にはまった。翌日「大人買い」で全巻を揃えてしまった。コミックを買ったのは久しぶりだ。西原理恵子以来だな。『おさんぽ大王』は、ほのぼの西原という感じか。とにかく今の気分にぴったりだった。ダラダラも悪くない。

 

 

 

 

「プレ講座」2回目 本日20時からです

朝=あったかい肉ソーメン/おやつ=アップルパイ、屋台の焼き鳥/夜=親子丼、野菜具沢山の味噌汁

20時スタートの「美術史プレ講座」のせいで、一日中緊張状態。どこか上の空というか。今回は「美術史から見る写真のボケ表現」というキャッチーなタイトルのためか、参加希望者がこれまでの2倍以上になっている。4日(日)夜8時から、3日(土)と同じ内容のものをライブ配信するので見逃した方はぜひ。応募はこちらから(注: 一部、SoftBankのアドレスが返信できない場合もあるので、ご注意ください)。

アドレスは削除(9月4日で終了しました)

さて、たったいま無料「プレ講座」1回目が終了。いい感じで話せて、コメントも有意義なものをたくさんいただけた。ライブ中に変なコメントを入れてくる人がいなくて本当にありがたいです。日曜日の2回目配信が終わってないので、スッキリというわけにはいかないが、半分だけ肩の荷が降りた。

そういえば、昼間に近くの神社でお祭りをやっていて屋台や出店がたくさん出ていて大盛況だった。久しぶりの大きな祭りとあって、子たちが楽しそうだ。昔と違うのは友だち同士で来ている子があまりいなかったこと。小学生ぐらいまでは、親が同伴している。そんなところに時代を感じてしまった。

 

<2021年9月4日の日記から>

追いかけられる夢をみる。気になるので調べてみたら、夢の中で追いかけられて足が重いのは「自信喪失、プレッシャー」とあった。「100年に一度の天才と言われている若者が個展やっていますから見てください」と教えてもらったので、神保町まで見に行った。作者の大西ちふは18歳で岡本太郎賞を受賞。高校3年生18歳の時だ。2会場で行われていた展示はすでに回顧展の様相を呈していた。圧倒的な質量。作品の多くに販売を示す赤丸がついている。20年後には価格は100倍くらいになっているかもしれない。中学生からすでに完成された、いや何を持って完成というか分からないが、とにかく見るものを圧倒する。ひとりで戦後美術史をやっているんじゃないかというくらい。フリーダカーロ、フランシスコベーコン、エドワードホッパーも。太い線で輪郭を描くのは日本的だし。すごいもの見ちゃった。その足で「南青山ギャラリーストークス」で服部一人写真展。彼は現在日大芸術学部の准教授で、僕の同級生。彼が学生時代に旅先で撮った写真が展示されている。プリントは今年焼いたものだが、こんなにすごいプリント久しぶりに見た。とても学生が撮ったものだとは思えない。彼が大学2年と3年の間ぐらいの春休み期間で撮ったものだというから20歳だよ。モノクロプリントが好きという人は見に行った方がいい。驚くから。夜はビールじゃなくてワインでも飲もうと思って床下収納のから1本取り出した。自分で買ったものではなくて、娘が買い集めているものだから、値段とかさっぱり分からない。コルクじゃなくてスクリューキャップだから、なんとなくリーズナブルなのかと選んだ1本が、なんとべらぼうにうまい。「こんなに美味しいということは」とアプリで値段を調べたら、5千円以上するワインだった。どうりで美味しいわけだ。娘にまた怒られそうだ。でも開けちゃったから「今日はお祝いだ」ということにして飲んだ。

 

<2015年8月4日の日記から>

屋久島のお土産「鯖の燻製」を使ったパスタ。これはいけます。

屋久島から戻った。毎日写真祭の準備と撮影で忙しかったが楽しかった。日本の招待作家も決まり、企業や自治体も協力してくれることになっていた。僕はこれまでの個展やグループ展、海外フェスティバルの経験から、展示方法のアドバイスをしただけ。あとは屋久島の二人が寝る間も惜しんでの奮闘だった。東京にいてはわからない運営の大変さを肌で感じた。残り1か月、できるだけのことは手伝う、その覚悟のようなものができた。

昨日写真家の中平卓馬さんが亡くなったという書き込みがSNSに流れてきた。ニュースにはなっていなくて本当だろうかと思っていたが、今日になって肺炎で亡くなったことがわかった。享年77歳。僕が14歳の時に初めて買った写真雑誌が『アサヒカメラ』だった。写真の面白さにはまり、毎月の発売が楽しみだった。森山大道と高梨豊、篠山紀信が毎号グラビアを飾り、もちろん中平卓馬はかかせない存在だった。篠山紀信x中平卓馬「決闘写真論」が連載されていて、意味はわからないが、これを読まなくてはいけないということだけは伝わってきた。2Bワークショップの初めてのグループ展に中平さんが突然来てくれた。その顛末は「旅するカメラ2」に書いたが、あの時の興奮はいまでも覚えている。ペンタプリズムが凹んだキヤノンF-1に100ミリマクロをつけていて、フィルムは感度100のポジ。シャッタースピードは1/125秒、絞りは11半になっていて、その設定でしか撮らないといっていた。その設定では晴れた日で、光がたっぷりあるところ以外は撮れない。中平さんの設定は「光優先」モードになっていた。撮るものはすべて縦位置で対象は寝ている人やネコ、植物など限定されている。それを2枚一組にするのが流儀。純粋写真とも言えるような写真の物語性を徹底的に排除した、具象を使った抽象表現になっていた。そこにセンチメンタルもノスタルジーもない。抑揚のない写真は見るものに予定調和という安心感を与えない。中平さんの『なぜ植物図鑑か』という評論集は、タイトルからしてそのまま現在の現代芸術のあり方を表している。その数年後も、再度ワークショップのグループ展に来てくれた。2時間以上、山梨まで夜通し自転車を走らせた話や沖縄に行ったときのこと、大きい蛇の話を身振り手振りで話してくれた。中平さんの存在は僕にとって、もはや神様か仙人かというレベルだった。ずっとお元気だった印象だったので訃報に驚いた。ご冥福をお祈りします。

 

 

 

 

 

 

 

Vログ

朝=海苔の佃煮とパルミジャーノのパスタ/夜=カボチャとレンコンのきんぴら、きゅうりとトウモロコシのサラダ、ポテトサラダ、ゴーヤと豚肉の生姜焼き、白米

9月はふたつのグループ展に参加して、10月は毎年恒例の僕主催ルデコの「2B &H」のG展が控えている。ルデコでは松本で撮った『da.da』から100x150センチの大型プリントを10枚展示しようと思っている。データ作りやプリントをプロのレタッチャーの塚本さんにお願いすることにした。打ち合わせに家に来てもらったのだが、写真の話よりも動画のことで話が盛り上がる。塚本さんのおすすめの海外Youtubeを見ながら、Vログ撮影について話す。なぜ彼らはいい感じに色を作れるのか? そもそもの光が違うからなんだろうが、実に気持ちがいい色でずっと見続けられる。使っているカメラはiPhone。カメラの性能ではないのだ。簡単に撮っているようで、かなり細かいことをやっている。音楽のセンスもいい。ひとつ紹介するとこれ。https://youtube.com/c/grainydaysss

4年前に初めて16万人の登録者数がある。立派な専業としてやっていける数字だ。2B Channelsのちょうど10倍だ。

 

<2021年9月2日の日記から>

鈴木麻弓さんから森美術館に誘われて「アナザーエナジー」展と「Kaws」を見に行く。六本木交差点の「アマンド」前で待ち合わせなんて学生以来だ。昔の外観と随分変わっている。赤と白のストライプのファサードではなくなっていた。面影が残っているくらい。ビーガン御用達のお店で、豆コロッケのランチを食べてから美術館へ。「アナザーエナジー」点は16人の女性アーティストの作品紹介。戦後すぐから活動している現在80歳近いアーティストばかりで、それぞれのインタビュー動画が面白い。年齢を重ねることと、作品を作り続けることの関係性は60歳の僕にとって切実だ。「kaws」展は入場料2500円もする。それでも見たい人で溢れていた。今もっとも重要な現代アーティストと考えられているけど、見に来ている人の多くはそんなこと関係なく「kaws」の生の作品を見たい人ばかりだろう。年齢層は20代中心。画像イメージでしか知らなかった「kaws」の立体作品「コンパノン」を見たら、昨年やはり森美術館で見た村上隆のフィギュアを思い出した。間違いなく延長線上にある。夜は2BChanneの生配信。冒頭5分間音声が出ないという事故。ちょっと焦るが無事修復。ライブ配信をすると必ずと言っていいほど登録者が3人くらい減る。これ「ライブ配信あるある」みたいだ。今回は「カラー写真」の歴史的な話。そういえば最近機材ネタをしてないな。

 

<2016年9月2日の日記から>

 8月は食欲はあるのだが、下腹がズンと重く、上半身がフワフワする。朝起きると胃がシクシクする。驚くくらいマイナス思考になって将来を悲観しはじめる。それを打ち消すことができない。ずっとむやみな自信だけで生きてきたのに、それを自分で否定するわけだから始末が悪い。55歳、ははーん、これが男の更年期障害か? なんかで聞いたことある。こうなるとどうしようもない。嵐のようなものだから。寝付きは悪くないのだが、落ち着かせるために海外旅行用に買ってあった睡眠導入剤ドリエルを飲んでみた。安定剤みたいなものかなと思ってたのだが、これは失敗。起きてもボーっとしていて良いことなし。ガサゴソと薬箱を覗いていたら、妻が座骨神経痛の時に買っていた漢方薬を見つけた。妻曰く「なんでも効くらしいよ」。自律神経改善効果もあると薬剤師から説明されたそうだ。まあ毒じゃなさそうだから飲んでみた。あら、びっくり。とたんにスッキリした。よくなったよと妻に言ったら一言、「あなたは暗示に弱いのよ」。ということで9月になったらほぼ元どおり。11月に冬青で村越としやさんの写真展がある。高橋社長の熱烈なオファーが実ったそうだ。その時のトークショーのお相手に村越さんが僕を指名してくれた。村越さんはまだ若いけれど(20歳違い)、とても尊敬する写真家のひとりなので喜んで受けることにした、昨日はその打ち合わせ。事前にネットで彼の記事を拾い読みしたが、どれも同じようなものが多い。自身のサイトもないようだ。村越さんとちゃんと話をするのは初めてなので、まずは箇条書きにした質問に、考えずに即答してもらうことにした。へー、そうなんだということがどんどん出てくる。打ち合わせであまり聞きすぎると、当日緊張感がなくなるので控えめにしたが、突っ込んで聞きたいところが多くて驚いた。近頃はなんでもネットに上がっていて伝説が生まれずらいのだが、村越さんのことはネットでは絶対分からない。11月の本番は期待してもらってもいい。彼のファンも初めての人も楽しめるはずだ。冬青では昨日から禅フォトのオーナー、マークさんが写真展をやっている。写真集がすごい。実業家でギャラリーでパブリッシャーで写真家。これもすごいね。X線かぶりしたというフィルムからのプリントがこれまたすごい。

音問題の解決

朝=玄米のドライカレー/夜=お雑煮

朝から美術史プレ講座の対応でバタバタ。ありがたいことに、今回は反応がいい。「ボケ」というキーワードが良かったのかもしれない。そこへ雑誌の特集ページの色校が届いたのだが、色が全く出てなくて唖然。フィルムからスキャニングでデータを作ったのだが、うまくいっていなかったようだ。モニターで見る分にはいいのだが、印刷ではくすみが出てしまう。すぐに編集者に電話して対処を考える。

9月に参加するグループ展のプリントを作る。インクジェットプリンターを久しぶりに使う。エプソン  のPV1Vを昨年購入したけど、使用頻度はかなり低い。暗室に入ってカラープリントしたいのだが、コダックの印画紙現像液が手に入らない。なんでも中国で作っていたものが、差し止められているそうだ。富士フィルムで以前、ホビー用として小口で売っていたけど、どうなっているだろう?

夜は水曜日のライブ配信。2日連続でやったわけは、システムを変えたのでそのチェックのため。録画を見てみると満足のいく音になっていた。ようやく、これで音問題の解決に辿り着いた感がある。石の上にも3年とはよく言ったもので、9月1日で2B Channnelの本配信を初めて丸3年になる。

 

<2021年9月1日の日記から>

昨日の過去日記にあったスライドショー『雪の日』https://youtu.be/5Yx2bEMaYWk

水谷充さんがアップしてくれたもので、5000回も再生されてる。ワクチン接種後1週間、もう外に出てもいいかなということで、もう一度『アーヤと魔女』を映画館で観る。前回はジブリ美術館で観た。今回はドルビーサウンドで観たかったが、近くに該当する映画館はなかったので、新宿三丁目のバルト9へ。2度目でも面白かった。なんでだろ? ストーリーは中途半端で終わって謎が解明されることもない。この映画は賛否がはっきり別れるだろうな。好きな人にはたまらないし、嫌いな人は「つまらない」と切り捨てそう。僕には最高の映画。以前も書いたが一番好きなジブリ映画は『紅の豚』だけど、一番面白いのは『アーヤと魔女』。3DCGもいろいろ言われているようだけど、僕は2Dだったら2度も見に行ってなかったと思う。映画館に行く楽しみのひとつに予告編がある。昔々は「ニュース映画」っていうのをやっていた(笑)  。60歳以上の人には記憶にあるはず。今回の予告編で気になったのは『カラミティージェーン』『マスカレードナイト』『燃えよ剣』かな。映画を観た後は、日芸と工芸大の学生12人でやっているグループ写真展へ。面白かった。十分見応えある。モノクロも4人くらいいた。全体の1/3だから、思ったより多い。ちょっとだけ学生と話したが、意識が高い。学生のうちから学外で展示をやるだけある。帰りの電車が中野止まりだったので、お約束として「フジヤカメラ」へ。映像館の2階でブームスタンドを物色。パナソニックS5が天井から吊れるように大型のものが欲しかった。するとピッタリのスタンドがすぐに見つかった。1万5千円。これで収録のクオリティがちょっと上がる。

 

<2005年9月1日の日記から>

「もうカメラに興味はない」などと散々書いておきながら買ってしまった。「ローライ35」テッサー付きのブラックだ。言い訳をするなら、これは妻のものだ。家にカメラは売るほどあるのに、どうしても自分の物が欲しいと前々からコンパクトなカメラを探していたのだ。妻は近頃ちょっとだけ露出のことが分かるようになっえきたので、オートではなく、マニュアルで露出が決めることができるものが欲しいようだ。ローライ35は、極限まで小さくしたボディに機能をぎっしり詰めこんでいる。シャッタースピードと絞りを単独で設定できる。ただし距離は目測だ。とてもいい写りをするレンズは、沈胴式になっていて、引っ込めると出っ張りがなくなり黒い箱のようになる。カメラというメカが好きな方々にとって一度は気にかかる存在だ。よくぞここまで、というほど小さい。小さいけどミッチリしている。見つけたのは横浜赤レンガ倉庫でやっていた骨董市でだ。ジャンク寸前のカメラの中に埋もれていたのを妻が見つけだした。レンズはきれい、低速のシャッターもスムーズ。各部の操作感もいい。露出計は電池切れで動かないが、もともと当てにならないのでかまわない。店主との閉店間際の駆け引きで3万5千円を2万9千円にしてもらい交渉成立。ボディの上の部分に小さいエクボがあるほかはいい感じだ。フィルターとハンドストラップもついていた。中古カメラ屋で見つけたら、なにかとアラを探して買っていなかったかもしれない。骨董市という怪しげな場所だったから、そそられるものがあったのかもしれない。レンズを引き出してシャッターを切ると、パチンと切れのいい音がする。どんな写りをするか楽しみだ。

コラボ配信 第2弾

朝=山かけうどん/夜=枝豆とコーンのダシ、胡瓜とトマトとチーズのサラダ、ポークと豆の玄米カレー、

半年に一度の無料講座。今回は「美術史から見る写真のボケ表現」。9月3日(土)と4日(日)の午後8時からいずれも同じ内容です。zoomの視聴に必要な情報をお送りします。

アドレスは削除(9月4日で終了)

なぜか日本のみで発達した写真のボケ表現。それを歴史から考えてみたいと思います。

午後にある会社の方が「配信システムを教えてほしい」とやってきた。ついに配信コンサル(笑)。今まではOBSという配信ソフトからやっていたそうだが、トラブルが2度続き、システムを見直すことにしたそうだ。僕が薦めた機材はATEM MINIのPROisoモデル。この機種だとLANケーブルで繋げるソフトウエアに頼らずにとハードウエアで配信ができるので安定感が増す。映像の他に音声も繋げるし、録画機能もついている。最強。ただ通常のピンジャックでのマイク入力だとノイズが大きく出るので、必殺技を伝授。実はつい最近見つけた方法なのだ。マイクも含めていろいろ揃えても20万円はしない。それで配信が安定するなら会社使用としては安いものだと思う。

そして夜は鈴木心さんとのコラボ配信。1ヶ月前の配信は驚くほど試聴されている。そこで第2弾ということになった。前回は際どい話も出たが、今回は結構真面目な話が多かった。今回は僕の自宅から鈴木心写真道場と2B Channnelの双方に同じ内容を同時配信した。アーカイブはこちら。

https://youtu.be/ibHWiMI3boQ

 

 

朝カレー

朝=『暮らしの手帖』レシピカレー/おやつ=マッシュポテトサンド/夜=胡瓜とワカメのポン酢サラダ、焼き餃子、卵と三つ葉のお汁、白米

朝の8時に友人がカレーを届けてくれた。なので「朝カレー」してみた。いける! 美味い! 「朝カレー屋さん」やれば繁盛する(笑)。

午前中に1本の動画を撮って編集。今回のテーマは「人を集めるって難しい」。その前の動画で「写真を始めたら少人数のグループを作るといいですよ」と解説しているのだが、そもそも5人集めるだけで大変。コメントに人集めの難しさが書かれていたのでアンサー動画を作った。僕自身、ずっとワークショップをやってきて一番悩むのは人集め。どうやったら告知できるか常に悩んできた。twitterやInstagramで集まるなら苦労はないわけで。なので手間がかかるけど、訴求力の大きいYoutubeを始めたみたいなものだ。本を出版することになったので、午後に編集者がやってきた。今日は2時間ほど雑談を交えた打ち合わせだったが、早く形になるように動き始めないとね。

 


<2021年8月30日の日記から>

トマトキムチを鍋にしたら最高。珍しくビールを飲む。締めにチーズと玄米投入して雑炊。クーデルカ「EXILES」の解説動画を編集してアップ。めんどくさいことを一切しないで編集していても、アップ終了まで5時間近くかかる。いつも思うが毎日アップしているYoutuberは尊敬に値する。編集動画を効率よく撮影するためのセットを作りたくなる。今の部屋は配信にはいいのだが、編集動画の作業をするには、いろいろ問題が出てくる。隣の部屋を改造しようかな。本当はリビングを使いたいのだが、妻がいい顔をしない。本日は映画じゃなくてNHKオンデマンドで「NHKスペシャル 戦国~激動の世界と日本~」の前後編を見る。日本の浮世絵が西洋の絵画を変えてしまったけど、まさかスペイン帝国の崩壊と日本が密接に関わっていたなんて。1600年にすでにグローバル経済になっていたとは。これでまた美術史講座で話すネタが増えた(笑)

 

<2008年8月30日の日記から>

 5月からアシスタント不在のため、人手が必要な時だけTAROに臨時で手伝ってもらっている。朝、TAROから電話があった。

「今事務所の前ですが渡部さんどこですか。集合11時でしょ」、「何言ってるんだ、撮影明日だろ」「エッ、渡部さん確かに今日だって言ってましたよ」。スケジュール表を見たら僕が一日間違っていた。冷たい汗が背中を伝う。今日はタレント撮影の日だ。大慌てで事務所に向かい、現場に10分遅れで到着。「いや〜道が混んでて」。TAROに頼んでおいてよかった。やぱりひとりだと危ないな。

来週のギリシャ取材の打ち合わせで編集部へ。イタリア号が出来上がっていた。表紙、中扉を含めて30ページ以上撮影している。ほとんどがフィルムでの撮影。大きなポスターも645のポジから印刷している。ギリシャもフィルムにすることにした。ただし35ミリ。島と島の移動を繰り返すため極力荷物を減らしたい。その代りと言ってはなんだがフィルムはベルビアを使うことにした。100Fのほうではなくてベルビア100。べルビア50は出た当時使っていたが、100になってからは初めて使う。400以外の感度を使うのも久しぶり。ナチュラルな表現はEOS5Dに任せて、ヴィヴィッドな風景はフィルムを使う。デジタルで一番弱いのはヴィヴィッドな表現だと思う。なので今回の使い分けとなった。自宅でパッキングしてみる。体重計に載せて機内持ち込み制限をクリアできるように何度も出し入れ。着替えがなければいいのにと思ってしまう。