たこ焼きがおいしい季節になってきた

フィラデルフィアかたやってきた便器を見に上野まで行ってみた。「デュシャン 人と作品」上野国立博物館。

 

「泉」というタイトルがつけられたこの便器は、写真でさんざん見ていたが、本物は初めて見た。便器は思ったより小さかった。

 

もともとのオリジナル便器?は壊されたということで、現在残っているのはレプリカ?いということになる。

 

なぜ?かというと、この便器はデュシャンが作ったわけではなく、当時普通に売られていた既製品だから。つまり「本物」と「レプリカ」に差異はない。デュシャンの認めた便器は、世界中で200個以上あるそうだ。

 

美術史をやると絶対出てくるのがこのデュシャンの便器。作品タイトルは「泉」。洒落てる。とにかくこの便器が美術史の世界を根本的に変えたということになっている。

 

なので本物?を見にいったわけだ。残念ながら「大ガラス」は東大駒場にあるレプリカだったが「車輪と椅子」や「階段を降りる女2」は本物がフィラデルフィア美術館から来ていた。

 

初期の絵画がいい。テグスをキャンバスに貼り付けて描いた

『チョコレート粉砕器』という作品がことのほか好み。

 

第一次世界大戦を挟んだ激動の時代にアーティストになり、どんどんスタイルを変えていって、ついにはアートをやめてチェスのプロになってしまう。多彩なというか多才というか、人生いそがしかっただろうな。

 

次の日はTOPギャラリー2Fの「愛について アジアン・コンテンポラリー」を見てきた。

 

ここ10年くらい、コンテンポラリー(頭痛が痛いになってるな)写真のほとんどを占めているのがポートレートだ。今回も全ての作家がポートレート。個人的な問題を通して社会性を浮かび上がらせる。「私の話を私達が考える」という方法だと言える。それぞれの個人やコミュニティや国がかかえていることを写真にしている。

 

だから見て楽しいということはなく、テキストを読むことをきっかけに考えることを要求される。巨大なプリントを前にいつも居心地の悪さを感じる。

 

日本代表は須藤絢乃の「幻影 Gespenster」。彼女の初期代表作で今年6月に六本木2121で展示されていたのも含め何度も見ているが、このシリーズは見ればみるほど面白くなる。今回はある仕掛けに気がついた。自分もやってみようと思っていたことだった。

 

3Fはコレクション展。地域、年代を超えたグループ展みたいで面白い(笑)「考えるな感じよ」でいい。見ているだけで楽しい。視覚的な欲求にこたえてくれる。「たのしむ、まなぶ、夢のかけら」甘いタイトルがいい。

 

展示の中にユージンスミス「カントリードクター」があった。写真が写真らしくふるまえた時代の写真だ。昔々、こんな写真が取れたらいいなと思っていた。もう40年も前の話だ。