プアハウスでカレー

ワークショップ57期は土曜日午前と午後に一人づつの募集になります。

写真を定義するとしたら、静止していて平面であることになるのだろう。

写真がl印刷メディアとくっついていた時は、その特性を十分に生かすことができた。ある時期まで、この組み合わせは何かを伝える道具としてとても力があった。

ところが2000年以降、印刷メディア以外の選択肢が出てくるようになると、静止画で平面というものが伝えるという行為において物足りなさを感じるようになってきた。

そのせいか最近写真家と呼ばれる人たちが積極的に動画に取り組んでいる。先日大西みつぐさんと会った時に話題になったのは大西さんが作った映画のことだったし、まだ言えないが知り合いの写真家も映画製作を進めている。

ドキュメンタリーの写真家石川凡さんがネパールを題材とした映画を作ったというので昨日東中野のポレポレ座に見に行った。石川さんはナショナルジオグラフィックに掲載されるほどの世界的な「写真家」だ。https://himalaya-laprak.com/

2015年ネパールに地震があった2日後に現地入りしている。その時は動画ではなく写真を撮っている。震源地に一番近い村に入り、ひとりの少年と出会うことで継続的な支援と再来を決める。

その後手にしたのはムービーカメラだった。20年前なら動画という選択はなかったかもしれない。印刷メディアに依存することが難しくなった今、静止画の写真より映画を作った方が伝えやすいと考えたのは自然な流れだろう。フォトジャーリズムの牙城マグナムが経営難で出資を求めるという時代だ。伝える役割の多くは動画へと移り変わってきている。

映画「世界で一番美しい村」は、ほとんどが石川さんのワンマンオペレーションで作られている。撮影、編集、配給まで(ナレーションは倍賞千恵子がやっている)。そして資金はクラウドファウンディングを使うことで調達している。映画がひとりの情熱で作り上げれる時代になったのだ。無論誰にでもできるわけではないが、可能性は生まれている。

ネパールには2011年と12年に訪れた。映画に出てくるような山間の村にも数日だが行ってみたことがある。映画と同じように、そびえる山々を眼前にいただく村だった。

動画は音なんだなと思わせる映画だった。歌声がまだ体に残っている。声高ではない、石川さんにしかできないものになっている。いや、石川さんしかやらないと言ったほうが正確か。

昔モンゴルによく行っていた時に「プージェイ」というモンゴルのドキュメンタリー映画を見て、その後ずっとそのことを考えていたことがあった。今回それと同じ気持ちになっている。