アルルからパリへ。中華を食べる。チキンとコーンのスープ。by

毎日ギャリーは夜の8時まで開いていて、そこから帰ってご飯を食べると寝るのは毎日12時を過ぎている。

今年のアルルでは、ホテルに泊まらずにフランス側オーガナイザーのオトナの実家に泊まらせてもらっている。彼はアルルの出身だ。

事前に「アルルではうちに泊まればいいよ」と言ってもらえていたのだが、内心「5人も泊れんのか?」と思っていた。床に雑魚寝に備えてシュラフがいるんんじゃないかと心配していたくらいだ。

アルルの中心地からヒマワリ畑や牧草地を見ながら車で走ること20分、「ここから我が家のオリーブ畑だよ」と言われて農道の小道を入った先にオトナの実家はあった。

説明不可能なロケーション。夾竹桃が咲きみだれ、大きな無花果の木、石造りの建物はおとぎ話のようで、芝生の先には広大なオリーブ畑が広がっている。

真っ黒い大きな犬や2匹のネコが遊び、プールの向こうにはブランコ。夕暮れの空はグラデーションに染まり、夜は満天の星。

高校生の子供たちが庭でモノポリーをしている。夏休みにオトナの娘の友人が泊まりにきていた。映画の世界のようなボーイミーツガールだ。

我々は離れの小さな家に泊まったのだが、ダブルベットが3つ、シングルがひとつ、ソファーベッドもあって、最大8人まで泊まれることになる。

キッチンで夕食を作り、オリーブ畑が広がるテラスで皆で食事をする。地元のロゼワインを開けながら沈む夕日を眺める。

それを写真を撮ると、SNSにアップするのがはばかてるような嘘くさいものができあがる。

この夢もの語りのような暮らしがフランス側のオーガナイザーであるオトナにとって日常なのだ。ここで生まれ、ここで育ち、料理人として世界中を回り、パリで写真家になった。

発想というのは知識と経験に基づくとすれば、自分とはベースがまるで違いすぎる。彼らと付き合うにおいて、考え方の相違があるのは当たり前なのだ。卑下するつもりはないが、あまりの育ちの違いに驚いた。

毎日疲れて帰ってきても、ここでゆっくりする時間があるだけで回復できる。

朝起きて庭にある2本の大きな糸杉を撮るのが日課になった。ゴッホが描いたアルルの糸杉を思い出す。