プリントを買う。今年最後の大きな買い物。

来年1月8日金曜日からギャラリー冬青で個展だ。月末30日土曜日まで続く。もうそろそろ告知が出るはずだ。

ギャラリー冬青はコマーシャルギャラリーという立ち位置なので、作品は見せるものであり、同時に商品である。ここが見せることだけが目的になるメーカー系のニコンコニカミノルタと大きく違うところだ。

八百屋に「いい大根だね」と褒めにくるお客さんは必要ない。コマーシャルギャラリーも同じで「買う気のない客は来るな」と公言しているところもある。

ニューヨークやパリだと事前にアポイントを取ってからでないと作品を見れないところも多いし、会員制のところもあるらしい。一見さんお断りのギャラリーだ。日本にも現代アート系のギャラリーだとアポイントを必要とするところがある。

ギャラリー冬青はそんなことはなく、誰でも自由に入ることができる。入場料もいらない。ミュージシャンなら、どんなに新人でも入場料を取るのにね。

販売の場所で自由に見てもらう理由としては、まずは作品と作者を知ってもらうことが大事で、その後それが口コミやネットでジワジワと評判が浸透していき、購入してくれる人が増えるという流れが期待できる。

知らない人の写真は、どんなに気に入ったとしても購入するとなると躊躇するものだ。決して安くない買い物だし生活が便利びなったりするわけでもない。

僕自身がプリントを買うのは多くて一年に3枚くらいなのだが、資産になるから買うわけではなく、その作家をこれからもずっと見ていきたいと思える人だけ買うことにしている。

なので同年代から若手のものが中心になる。デビュー作のものを一目惚れで買うことはまずない。個展のたびに観に行き、この人はずっと活動を続けていくと確信したときに購入を考えるようになる。買うときは、「今日は買う」と決めてギャラリーに行くことがほとんどだ。一番嫌なのはプリントを買った作家が活動をやめてしまうことだ。

作家として人生を全うしようとする気がないと買う気はしないし、それが感じられたら応援の意味も出てくる。僕自身売る立場でもあるから買ってもらうことの重みは骨身にしみている。

買ったものは毎日愛でるというよりも、1枚買うことでその作家のその後の活動がとてもl面白く見れるようになる意味合いの方が自分にとっては大きい。

作品を売ってみたいという人は、買ってみる経験をしたほうがいいよ、とよく言っている。それがどんな意味を持つかがよくわかると思うからだ。


作品搬入のためにギャラリー冬青に行ったら、ちょうど12月の展示の亀山仁写真展「Thanaka Ⅱ」の作品の掛け替え準備中だった。

まだ床に置かれたままの写真を見る。亀山さんの写真は初期からずっと見ていて、冬青では2度目の展示だ。同じミャンマーを扱ったものでも1度目とは違った印象を受ける。

ギャラリースッタフに赤いピンをもらい、湖の写真の上にそれを刺した。