ワークショップ2Bは今年で10周年を迎えた。43期も今週末で終わり、1週おいて24日25日から44期が始まる(日曜日にまだひとり空きがあります)。
10周年だから何かやろうと昨年から考えていた。出版や展示という案があったが何も決まらぬまま、あっというまに10周年を迎えてしまった。
2Bの中でのイベントとして年に1,2度写真家を招いて初期物から最新作まで見せてもらうことをやってきた。これまでに、北井一夫、鬼海弘雄、田中長徳、普後均、ハービー山口、白岡順、齋藤亮一、尾仲浩二、鈴木光雄、金村修、小林紀晴、中藤毅彦、有本伸也(敬称略)と多くの写真家に来てもらった。
学生時代のものも見せてもらうことができ、作家が初期からどう変わり、そしてどう変わらないかを感じることができる。年代という軸をもって写真を見ることができるのはとても面白い。
そこで今回は僕自身の作品を2Bの人たちに見てもらうことにして、10周年記念イベントの代わりとすることにした。
初期のものと言えば本当は高校生の時のものなのだろうが、残念ながらネガはあるのだがプリントは手元に残っていない。実家に残っていたものは建て替えの時に全て処分されてしまった。
大学の卒業制作は東京にあったはずだと押入れを探していたら、厳重に紐でくくられている紙袋を見つけた。ほどいてみたら、なんと大学1年と2年のときの実習の課題プリントだった。
サーッと血の気が引くようなお粗末な写真ばかり。当然全てモノクロ。何も考えていないのが今見るとバレバレ。
これはとても見せられるものではないから再び封印しようと思ったが、一晩考えて見せることにした。よく見ると現在につながるものがありそうな気がしたからだ。本人的にはかなり恥ずかしい。
卒業制作は見つからなかったが、雑誌の仕事で撮っていたポートレート写真を集めたクリアファイルが出てきた。おそらく35歳くらいのものだ。その頃はポートレートの仕事はすべてプリントで納品していたから写真が残っていたのだ。
そのくらいの時期からライカで東京を撮り。ローライで南の島を撮りだしている。そこからのものは六つ切りのプリントできちんと残してある。
その頃は展示など考えていなかったから、ほぼ六つ切りのサイズで焼いていた。大四つを使うようになったのは随分と後のことだ。しかも残っているプリントは1枚づつだけ。他は処分してしまっていた。
北井一夫さんは学生時代の写真から、きちんとプリントが残っている。どうしてそんなにたくさんのプリントが残っているのか不思議で北井さんに尋ねたことがある。
すると「簡単だよ。すっと引っ越さなかったから」と笑っていた。
そればかりではあるまい。残そうという意識が最初からあったに違いない。1970年代から定期的にギャラリーで作品を販売してきたのもプリントの商品価値を強く意識させることになったはずだ。
あらためて自分の写真を見返すのは恥ずかしいことこの上ない。でもそんな機会はめったにあるものではないからな。