上からどうぞ2

野辺地から大湊へは、海を左手に見ながら海岸線沿いを進んでいく。ちょうど地図上で言うとマサカリの柄の部分で細くなっているところだ。太平洋と陸奥湾に挟まれているから風が凄い。

防風林が道沿いに並び、所々に風力発電のプロペラが回っている。雲が勢いよく流れ、そのたびに雲間から太陽が差し込む。何度となく車を止めようとするのだが、太陽はそのたびに厚い雲に隠れてしまう。

下北半島は日本有数の風力発電ポイントだ。単純に風の流れが速いだけではなく、重いからプロペラを回す力が強いのだそうだ。大湊まで約50キロを1時間半かけて順調にドライブ。街中を車で軽く流すがこれといって撮りたいものもなく、そのまま半島を先のほうまで進むことにした。

マサカリの刃の部分の下側が牛の首岬で、刃の上側が大間になる。まっすぐ車を走らせ牛の首岬まで着いたところで車のナビの目的地を「大間」と入れてみた。

ナビを見ると大間にはう山越えのコースで約25キロ。たいした距離ではない。ナビの指示通り進むと、ゲートが見えた。

ゲートには「冬季期間の通行を禁止します。皆様のご協力をお願いします」とある。でもゲートは開いていた。

まだ雪も降っていないし、通れるようだ。もしこのコースが使えないと現在地から大間にはかなりの大回りを強いられることになる。良かった良かった、1時間もすれば大間につけそうだ。

車を走らせるとすぐに山道になった。下のほうは雪はないが、山頂近くまで走ると雪が軽く積もっていてアイスバーン状態になっている。タイヤはスタッドレスだし、雪道の運転は米沢で慣れているので問題はないが、どうも様子が変だ。

道々に雪で折れた木々が散乱し走りづらい、スラロームを縫うように走らなければならない。

そしてあることに気が付いた。まだ一台も対向車とすれ違っていない。ある仮定が頭をよぎった。「もしかしたら反対側のゲートは閉まっているんじゃないか?」

ちょっと背筋が寒くなった。しかし、来た道のゲートは開いていたわけだしそんなはずはないな、と打ち消そうとする。しかし、あることを思い出した。ゲートを入ってすぐの所に、道端に工事車両が止まっていた!

もしかして、その工事のために開いていたんじゃないか?まさか、でもありえる。