今日も平日だというのにグループ展用にプリントするもの作品を見せにくるもので終日人の出入りが激しい。
カラーでもモノクロでもデジタルでも、サイズもテーマも何でも自由ということにしているのだが、唯一約束事にしているのが作品にキャプションをつけるということだ。1枚づつの写真説明ではなくて、全体に対するものだ。
これまでも何度か日記でもこのキャプションについてふれているが、なかなかこれが難しい。
写真を見るのにはキャプションはさして重要ではないかもしれない。つけるつけないは作者が決めればいい。必要だと思えばつければいいし、必要ないと思えばつけなくてもいい。それは作者が決めることだ。
でもつけるつけないの自由は、キャプションを制作できる能力があってのみ成立する話だ。できないから必要ないではなくて、きちんと作品を自分で理解している上でつけない自由を行使すべきだと考えている。
ワークショップのグループ展は毎回、毎回参加者が入れ替わり、何年続いても準備は一からはじめることになる。ほとんどの参加者は始めての展示になる。写真を撮って現像して、ベタをとって、プリントして、マットにいれて、額にいれて、釘を打って、壁に飾る。その延長上にキャプションも存在する。写真制作に必要とされるものは全て体験してみるのだ。
キャプションは専用掲示板を使ってネット上でのやりとりなることが多い。アップしたものは、ワークショップの参加者なら見ることができる。それを僕が見て添削する。いわく「具体的な言葉で。自分のことではなくて写真のことを。使い古された言い回しは使わない。記憶、時間、光景、〜に向けてシャッターを切ったなどはNG」などなど。書いた経験など誰もないから全員苦戦する。一発OKはほとんどない。
プリントを制作するだけで大変なのに、最後の最後にもう一回大波がくるようなものだ。
グループ展を始めた頃は何度も何度もやり直しを要求し、直しも大幅にいれていた。しかしあるとき展示のキャプションを見ていたら、本人の言葉より、渡部さとるの言葉に近くなっていることに気がついた。
だから近頃はなるだけ直さないように心がけている。でもついついばっさりやってしまうのだが。
来週9月21日火曜日から渋谷ルデコ2F3Fでワークショップ2Bグループ展が始まります。是非お越しの際は写真と一緒にキャプションも見てください。