夏の夜の夢

昨夜のフォトグラファーズサミットは楽しかったし凄かった。前回は観客のひとりだったが今回はプレゼン側での参加だった。

持ち時間は5分間。それをどう使おうとも自由。僕は5分間の持ち時間を使ってショートムービーのようなものを作りたいと考えた。40枚弱の米沢の写真を組んでバックにピアノ曲をつけ(版権フリーの素材)そこへ自分の書いたショートストーリー「雪の日」のナレーションを入れる。

このアイディアは「雪の日」を英語に翻訳してくれたYさんが「渡部さんの写真にこのストリーをつけてスライドーにしたらおもしろいんじゃない」というアドバイスから生まれた。

スライドショーなんて本格的に作ったことはなかったのだが、自分の写真に自分の文章をつけるというのは面白いと感じた。

フォトグラファーズサミットへの出演依頼があったときには、もう構想はすべてできていた。ナレーションを自分でやることも考えたのだが、子供の頃の話なので女性に読んでもらうほうがしっくり来るように思えた。そこで偶然知り合った女優の七咲友梨さんにお願いすることができた。彼女自身も写真を撮っているので感覚が分かるんじゃないかと思っていた。

まさしくそれがうまくはまり、今回のプレゼンにつながった。壇上からはスクリーンに映写された写真の反射で観客席がはっきり見えた。会場は水を打ったように静まり、全員が固唾を呑んでスクリーンを見つめている。話し声も笑い声も聞こえない。音楽とナレーションだけが会場を包む。

終わったとき、手ごたえを実感できた。気持ちよかった。

他のプレセンターの写真を全て見ていたのだが笑ってしまうくらいバラエティに富んでいた。僕はうつゆみこさんと兵頭喜貴さんの間のプレゼンだったが「生ものとラブドールの間」ということになる。王道と言って自分の写真が異端に見えてくるほどだ。

まだまだ荒削りなイベントだが、確実に進化していて近い将来「フォトサミでプレゼンするのが目標です」という写真家も現れるだろう。実際にもうそうなっているかもしれない。

リハーサルから本番まで中の様子を見て、若き写真家の動きの良さを見ていると、ウカウカしていられない気になってくる。

僕の夏は最高の形で終わることができた。