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麻雀をあきらめ昨日買った「ハワイ写真さんぽ」を手に取った。hanaさんの2冊目の本で前回のご近所から一気にハワイへと散歩の幅が広がった。

今回も藤田一咲さんの構成になっている。前回は文庫サイズだったがA5版にサイズアップしたことで写真集の要素も出てきている。藤田さんは一度見た写真を頭にファイルできる能力があるそうだ。だから彼が作る本は初めから終わりまで構成がしっかりしていてとても見やすい。

hanaさんの写真はどこが魅力なんだろうと考えることがある。特別な瞬間でも特別な場所でもなく、そこらへんの風景でしかない。今まで教育されてきた「いい写真」とはかけ離れている。たぶんカメラ雑誌のコンテストに応募したら間違いなく入選しない。

でも多くの人が彼女の写真に引きつけられる。今回2冊目の本を出版した。この出版不況のご時世に、出版社はリスクを負って出版するわけだ。自費出版ではないから、売上が悪いと判断されれば出版することはかなわない。

誰でもとは言わないが、1冊の本を出すことはそんなに難しいことではない。でも2冊目はかなりハードルが高くなる。1冊目が売れなければ2冊目はありえない。そこをクリアしたものだけが2冊目を作ることができる。

僕は彼女の写真の面白さは本によって伝わると思う。写真だけではなく文章が組み合わされるとリズムが出てくる。当然藤田さんと組めたことは大きい。

パラパラと写真を見ているうちに文章を読み込んでしまった。どこか引っ掛かりがあってけっして上手じゃない。でも読んでしまう。写真と同じだ。そのわずかな引っ掛かりがリズムに繋がっていく気がする。

森山大道は部屋から玄関までフィルム1本撮りきってしまうというし、アラーキーは町に出ると毎日20本は撮影してくるという。hanaさんもフィルム、デジタル、カメラを問わずとにかくシャッターを切る。

「なんでもいいからシャッターを押せ」と言われてもできないものだ。これはかなり才能が左右する。訓練ではなかなかぬぐえない。大量に撮影したものから選び出し、それを藤田さんが本に構成する。この形で本を量産することができれば面白くなる。たぶん藤田さんはそれを考えているだろうな。