トライXとT-max400、どちらも感度400のモノクロフィルムなのだが性格が結構違う。
トライXはコントラストが高い仕上がりになると言われているが、それは情報量のほとんどを中間調に割り当てられているため。
シャドー部とハイライト部の情報に乏しいからプリントした際にハイライトは飛びシャドーは落ちる。結果見た目にはコントラストが高いように思えるが、撮影時にその部分を構図で排すれば中間調の豊富なプリントに仕上がる。
T-maxはシャドー部とハイライト部にも情報を持たせようとしている。シャドーの描写の粘りもあるしハイライトも飛ばずに微妙なトーンが出る。
しかし、その分どうしても中間部のつなぎがトライXより甘いように感じる。これは長年モノクロポートレートを撮影してきた実感だ。肌の調子はトライXのほうが表現しやすい。日本人の肌はまさに中間調だ。
カメラ雑誌などの機材欄を見るとランドスケープを撮る人はT-maxを使う傾向にあり、内的な表現をする人はトライXを使っている場合が多いようだ。
今回tライX、T-max400、T-max100を使って撮影し現像を繰り返している。そしてそれを印画紙に焼いてみてどれが自分にとってもっとも好みかを試している。
レンズと、フィルムと、現像液と、現像時間、そして撮影対象物と印画紙とファクターが多いため決定に時間がかかる。以前は現像の要素をホリウチカラーで統一していたため決定は非常に楽だった。
一時はライカのズマロンとT-max400とホリウチ現像、そしてコダックエクタルアペーパーという鉄壁の組み合わせが自分の中にあったが今はもう一度すべてを見直している。
2009年からニューバージョンになるわけだ。モノクロプリントを本格的に開始してから12年がたつ。ちょうど一週りの時期だ。
今年は年男。後12年たつと60歳か。