清家冨夫×渡部さとる

御茶ノ水の「ギャラリーバウハウス」で清家冨夫写真展 「WEST PIER」のトークショー。お相手役の大役を務めた。

清家さんに聞いてみたいことを箇条書きに40ほどあげてプリントアウトしてあった。僕はかねがね謎の写真家清家冨夫のプライベートを知りたくてしょうがなかた。こんな機会でもないと面と向かって聞けるわけもない。

当日清家さんとの打ち合わせで質問表を見せると案の定プライベートは触れてほしくなさそうだった。清家さんに、答えなくてもいいから質問はしますよ、と伝えておいた。

会場は立ち見も出るほどの大盛況。清家さんと僕を取り囲むように観客がこちらを向いている。開始10分前に席に着いた。記念に清家さんにサインをもらおうと、あるものを用意していった。清家さんといえばライカ。ライカ3Fの底蓋にサインをしてもらおうと考えたのだ。

持ってきたマジックペンを清家さんに渡し3Fにサインを入れてもらった。http://ppeye.exblog.jp/7439428/

ちょっと和んだところでトークショーの開始。45分話して10分休憩、そしてまた45分話をして質疑応答のスタイルだった。

最初の45分は、今回の展示を見ての印象から始めた。清家さんといえばライカだとばかり思っていたら展示作品にライカで撮ったものはひとつもなかった。なんとローライとスーパーイコンタ69を645にサイズダウンしたものが使われている。ローライは1980年代のロンドンを、マキナは近年のかすむ橋のシリーズだ。ほとんどが20万円のプライスをつけている。

階段の踊り場にあったローライの写真がとてもよかった。少女だというが、どこか大人びて見える。六つ切り印画紙に小ぶりにプリントされた作品は、サイズは小さいものの広がりを感じるものだった。すでに赤丸シールが貼られていた。グッドチョイスである。

清家さんにローライの話を聞くと、「正方形は難しい、ちゃんと正方形を使っている写真家はほとんどいない。だからその後僕はローライを使っていない」とのことだった。確かにローライを使う写真家は近頃多いが、本当に使いきれているのは有元伸也「西蔵から肖像」くらいだと常に感じていた。

正方形は収まりがいいから飛びつくが、底なし沼のようなところがあって捨ててしまう写真家も多い。有元伸也にして一時ローライから離れていたほどだ。