友人が来たのでキノコ鍋。お酒はアルザスの白ワイン。

「hanaの東京ご近所写真散歩」が藤田一咲プロデっユースによる本ということで「hana×藤田一咲トークショー」をワークショップ内で計画した。

23冊も本を出版している藤田さんなのに、どの本にも顔写真が出ていないし年齢、経歴も謎になっている。インタビューというものも見かけない。

えい文庫の初代担当編集者が藤田さんの本も手がけていてそこから断片的に話を聞いていたものの、実像はつかめていなかった。自らを「脱力写真家」と名乗る藤田一咲ってどんな人なのかずっと気になっていたのだ。

トークショー打ち合わせのため初めてお会いした藤田さんは僕の想像とまったく違っていた。かってに髪の毛の短い、ジャケットを着た人を思い描いていたのに、目の前に現れた本人は長髪でちょっとロックな人だった。

話を聞いていくと、整理整頓が苦手でカメラやポジが紙袋に詰め込んであるという。イメージではカメラが棚に1台1台磨かれてオブジェのように並んでいて、金属製の引き出しを開けるとポジが整然と収められているのを想像していた。

今までどこにも語られることのなかった、カメラマンへになったきっかけや駆け出しの頃の話、数百枚の写真を一瞬で記憶できる特異能力など驚きっぱなしだった。

もっとも印象に残ったのはデビュー作となったパリのモノクロ写真の売り込みエピソードだ。ああ、この人にも写真の真の神様がついているんだと思えた。

そのデビュー作のオリジナルをトークショーで見せてもらえることになった。

ひとりの写真家の誕生のきっかけになった生のプリントを見れるのは楽しみだ。

こんなときがワークショップをやっていてよかったなと思える瞬間なのだ。