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「ちょうどエドワード・スタイケンをやっているから見に行きましょう」と誘われコンコルド広場にある国立ギャラリーに行ってきた。

スタイケンの作品は、昨年サザビーのオークションで3億円の値段で落札されて話題になった。これまでの最高額だ。しかしスタイケンといえば写真史の教科書でしか見る機会はなく、オリジナルを見るのは初めてなのだ。

1895年から1962年までの作品が並んでいる。商業的にも成功した写真家のようで後半はファッションの仕事が多くなっていく。

しかし圧巻なのは初期のもので、おそらく鶏卵紙を使っているだろうプリントは凄みがあった。感度も低く、トーンの再現性も乏しい印画紙なのに写真なのだ。そして「紙」であることを強く感じた。

スタイケンは晩年、ニューヨークMOMAの館長として写真界に大きな影響を与えている。彼の功績のひとつに、世界中の写真家から写真を集め壮大な写真叙事詩となる「THE FAMILY OF MAN」展を開催したことがあげられる。

僕は高校時代図書館にあった、その図録の抜粋編「THE FAMIRY OF CHILDREN」を繰り返し読んで写真の道に進もうと決意した。そんなことをパリのギャラリーで思い出したのだった。

その後Mさんに僕のアパートまで来てもらって持ってきた僕の作品を見てもらう。僕が現在悩んでいる作品のセレクトについてアドバイスを受ける。

今回のビエンナーレの展示では、東京
のシリーズと米沢のシリーズから選ばれているわけだが、並べてみると違和感はない。

もしかするとその辺に今後のヒントが隠されているのではないかと思える。

後2日、まだ全然パリで写真を撮っていない。頭で考えると同時に手を動かすことでしか解決しないのはよく分かっている。明日は朝から街へ出ることにする。