フォコマート2c

以前日記に「ニューヨークでフォコマート2cを買った夢を見た」と書いたらロンドンから「日本に使っていないフォコマート2cとV35が物置に眠っています。よろしければ安くお譲りします」とメールが届いた。

なんでも書いてみるもんである(笑)ロンドンから一時帰国されている今日、埼玉県まで引き取りに伺った。黒光りする堂々とした2cを見て感嘆の声が出る。横にはV35も置いてある。

僕は20年前からV35を使っている。しっかりしていてなおかつ使いやすく、何年使っても不満のでない引き伸ばし機だ。しかし製造中止になった今、壊れてしまうと修理に莫大な費用がかかってしまう。ためしにライカジャパンにV35のネガキャリアの在庫を聞いたところ6万円だと言われ唖然とした。ネガを挟むだけのものが6万円とは。

近頃暗室用品がどんどん少なくなっていく。バックアップという考え方は好きではないが、あるにこしたことはない。今回2cの他にV35を譲っていただけるのは願ってもないことだ。

2cは埃をかぶっていたもののきれいでしっかりしていた。ネガキャリアなどの備品も揃っている。ただ、2本あるレンズのうち50ミリはついていなかった。35ミリも90ミリのレンズで対応しなければならない。しかし大伸ばしするのでなければ問題なし。

問題は使い方が今ひとつ分からないのだ。譲ってくれた方も随分前のことで忘れてしまったようだ。結構作動部が多い。ワークショップの人に2cを使っている人がいるから聞いてみようと思う。

車に2台の伸ばし機を積んで事務所に戻る。これで所有する引き伸ばし気はフォコマート3台をあわせ計8台になった。カメラを8台持っている人は多いだろうが、引き伸ばし機を8台持っている個人は少ないだろうな。

7月の写真展は2cで焼いたものが展示できるはず。いったい今までとどう違うか楽しみだ。

フォコマートを譲ってくれたYさんはイギリスに住む日本人女性だった。以前プリンターとして仕事をしていたこともあり、1990年初頭のガラス乾板からプリントされた南極の写真を見せてくれた。スコット隊についていったカメラマンのものだ。

そのプリントは信じられないほどトーンが出ている。氷の洞窟から海を写しているのだが、内部と外が絶妙なバランスで出ている。機会があれば南極全シリーズを見てみたい。