写真集テスト印刷

印刷所に預けておいた数種類の原稿を元に、写真集のテスト印刷ができあがった。

印刷所は東京ではなく長野にあるため担当者が出版社と行き来して進行していく。なぜわざわざ長野の印刷所に頼むことになったかというと、長野の印刷所にドイツ製の凄い印刷機が入っているからだ。「ハイデル」という機械だ。

僕が「あのレンズ使ったらもっといいプリントができるはずだ」と思うところを、出版社の社長は「あの印刷機を使えばいい仕上がりになるはずだ」と考えている。気持ちは一緒。違うのは規模だけ。

テストしたのは、カラーポジ、カラーネガ、カラーデジタル、それとモノクロプリント。複数の原版を使うため仕上がりにバラツキが出そうで心配だった。

紙の種類、製版のトーンカーブの変更など何種類かテスト印刷されたものから方向性を相談していく。

米沢で撮った真っ白な雪壁のモノクロ写真はプリントにほぼ近いものができていたが、モンゴルの馬に乗った男の写真はうまく出ていなかった。

それでも全体的に結果はまずまず。これはあくまでテストであって本番はこれから。出版社と印刷所で今後の日程を詰めていく。意外と時間がないことが判明。今週中に全ての原稿を揃え、全てに番号をふらなくてはならない。

順番は決まっていたつもりだったが、先週台湾で撮ったローライの写真を入れることにした。その写真を入れることで全体のつじつまがまた合わなくなってしまった。

再び写真の並びを見直す。もうちょっと、もうちょっととやっているうちに訳が分からなくなってくる。なんとか明日まで決めないと。

出版社で打ち合わせをしているところに新しい写真集の出来上がりが届いた。海野未来雄写真集「MARGINAL LAND」だった。

一番新しい冬青出版の写真集だ。デザイン、印刷とも掛け値なしにいい。雑誌の印刷が年々悪くなってきていると感じていたが、写真集ならここまでできるんだと驚いた。

「MARGINAL LAND」は東京の印刷所で刷っている。それを見た長野の印刷担当は「良く出てるな〜。製版うまいな〜」と感心しきり。

それはその裏に「うちじゃここまでできないな」ということなんじゃない。

ちょっと心配になる。