サンマの開きとイサキの刺し身。

オリジナルプリント販売についての感想メールを何通か頂いた。その中にはプリントの値付けはギャラリーがするもので作者個人がするものではないという意見もあった。

しかし、写真の販売を扱うギャラリーが少ない日本では、写真の販売は作者が自身の個展で行うくらいしか販売の機会がない。

そこでの値付けは、新人の場合、清里のフォトミュージアムが「ヤングポートフォリオ」として、35歳までの写真家の作品を3万円で買い上げているために、それに準ずるように3万円というのが多い。

また、活動歴の長い作家であっても、東京都写真美術館が国内作家の作品作品を買い上げる価格が7万円のため、やはりそれを参考にしているようだ。

ギャラリーに販売を委託している場合は、作品1点15万円から20万円となるが、販売手数料が30〜60パーセント近くかかるため、実際作者に手に入るのは7万円から10万円になる。

僕が初めてのところから撮影の依頼があったときや、作品を他媒体に貸し出す場合、これまでの料金を考えて返答する。ケースバイケースだが、一応の基準は自分の中にある。

しかし、プリントの販売になるとあまりにもその経験が少なく値付けに自信がもてない。来週から始まる「メイキングモノクローム終了展」での展示販売でも、六つ切り1点3万円と値段をつけたのも新人作家の「相場」を考えてのものだ。ギャラリーのコミッション(手数料)を差し引くと、手元に入るのはもっと少ない額になる。

一枚のプリントを仕上げるのに最低でも2日かかる。それはサイズの小さなプリントでも同じである。撮影にかかる諸経費も考えると1点3万円というのは妥当なのだろうか?

ある写真家は「プリントを販売して生計を立てようとしたこともあったが、あまりにも手間がかかるために断念した。今はプリントの販売はしていない。」と言っていた。写真界の大きな賞を受けている写真家の言葉だ。

今日若い人から「どうやったら写真家として生活できますか?」と聞かれた。

その答えはこっちが聞きたいくらいだ。