山の上ホテルの天麩羅屋、車えび一本1500円!

月に二度ほどワークショップを終了した人を相手に暗室を開放している。

プリントをする人の他にも2Bに遊びにやってくる人で一日中にぎやかだ。ライカやハッセルは言うにおよばず、エプソンRD-1やニコンD2Xから手作りカメラまで転がっている。

そこへ写真家の中藤毅彦氏が遊びに来た。しかもネガを持参して2Bの暗室でプリントをするところを説明つきで皆に見せてくれた。ワークショップ受講者に中藤ファンは多い。中藤さんが到着した時には人が2Bからあふれていた。

他の写真家のプリントワークを見れることなどめったにない。僕自身興味津々だった。あの粒子が粗いのにトーンが豊富なプリントはどうやってできるのか。

プリントの露光時間は2Bのフォコマートを絞り11まで絞ってシャドー部が3分!ハイライト部がもう5分!ハイエスとライトはさらに5分!!手具は使わず全て手で焼きこみと覆い焼きを繰り返す。10分間ずっと手をヒラヒラと動かし続けている。今回は四つ切だが全紙サイズになると焼きこみに数十分を要すると言う。

印画紙はベルゲール、現像はバットに印画紙を沈めると一切揺すらない。そのまま3分間じっと待つ。印画紙の最大能力を引き出している感じだ。僕のやり方とはまるで違う。

一番面白かったのは中藤さんのネガを見れたことだ。フジスーパープレスト1600。確かに濃いのだが真っ黒ではない。ハイライトとシャドーの濃度差があまりなく、全体にベース部分がかぶったようになっていてコントラストが以外と低い。フィルム現像は5分間連続攪拌しているというから、そこがポイントなのだろう。

写真家はそれぞれ自分だけのワークフローのスタンダードを持っている。それが作家性となってプリントに現れるわけだ。

終了後10人ほどで居酒屋へ。中藤さんは受講者が持ってきたエプソンRD-1が気になっているようだ。「自分のM7と交換しない?」とまで言っていたのだ。アナログの極みのような彼はデジタルをどう使うのだろう。