日曜日のお昼、冷凍肉まんとカップヌードル。

ワークショップも5期目をむかえた。こんなに長続きするとは思ってもいなかった。これも「旅するカメラ」のおかげである。

本を見て、サイトにアクセスして、申し込んで、というのがほとんどだ。まれに「使うローライ」(良心堂)を見て、という人もいる。

今期は愛知、浜松からの参加者もいる。愛知の人はプロカメラマンだ。EOS1Dsで仕事をしているという。

初回は座学なのだが、全8回の内容の80パーセントがこの回にある。午前、午後とも3時間の講義。いいたいことがわかってもらえたかいつも心配だ。

テキストは使っていない、その場の雰囲気、受講者の写真に対する習熟度に応じて必要なことを話している。結局いいたいことは、「光」の話しにつきる。光の量と質が写真を決定することを知ってもらいたいのだ。ただ「感じるままに撮る」ではその場で感じたようには写らない。

人間の眼は性能がいい。暗いところから明るいところまで幅広いレンジでディティールを再現することができる。

ところが写真は人間の眼が感じるおよそ半分のレンジでしか物事を再現できない。その領域を外れたものは真っ黒になるか、真っ白に飛んでしまう。美しく再現できる幅は限りなく狭い。

だから人間の眼では見える日陰と日向の明るい場所は写真では同時に再現できないことになる。よく「眼で見たときはもっときれいに見えていたのに…」と言う声を聞くが、人間が見えるレンジと写真が再現できるレンジが大幅に違うことがその原因となる。「感じたまま」に撮っては写真にならないのだ。

フィルムが再現できる幅を知って始めて自分の感じた光が再現できる。いくらカメラが進歩しても再現できる幅は変わることはない。ニコンのF5などは非常に優れた露出計を内蔵しているが、だからといって再現領域が増えるわけではない。

ネガは露出の許容範囲が広いというが、範囲外に飛び出した情報を、プリント時に再現可能な範囲まで戻すことができるだけ。

デジタルでも同じ。後処理によって再現できる範囲内にデータを持っていけるだけで、再現可能な範囲自体が広がっているわけではない。

フィルムが再現できる幅をつかむというのがこのワークショップの一つのテーマになっている。