豚と野菜をジンギスカンのタレで炒める。煮やっこ。

いい天気だった。季節が春になったのを実感する。

朝一番で江古田の動物霊園へ。焼香をすませ、最後にひとなでして別れる。家に戻ると妻は掃除を始めた。悲しくともお腹はへるので台所に立つ。出汁をとってお揚げとネギを刻んでそばをゆでる。

小太郎を見ていて分かったことは、食べられなくなったら終わりということ。つまり生きるということは食べるということだ。だからちゃんと食べることにした。

ふと台所のストッカーが目に入った。そこにはネコ缶が詰まれていた。思わず肩が振るえ、嗚咽が漏れた。

家にいてもしょうがないので原稿を届けに銀座に出た。編集部のフロアがどこにあるか忘れてしまった。バイク便や宅配便ばかりを使っていて編集部に顔を出すのは久しぶり。この前がいつだったか覚えていないくらいだ。

担当は出ていて会えなかった。他に知っている編集者の顔も見えない。どこの編集部でもそうだが、この頃セキュリティが厳しくなって、用が無いのにちょっと顔を出すということができなくなった。メールやバイク便で用が済む便利な時代だが、編集者といつも顔をつき合わせていた頃が懐かしい。

銀座ニコンサロンからコダックフォトサロンへ。コダックでは永勝典写真展「136゜HorizonView」をやっている。文字通りパノラマカメラを使って撮られたニューメキシコの風景。乾いた空の色が美しい。日本の空とはまったく違った色合いだ。モノクロ写真もあったがカラーのほうに強く心が魅かれた。

銀座まで来たのでレモンへも足を伸ばす。この頃ちょっと気になるのはヘクトールの28ミリとライカの1c。そこに単独ファインダーだけを乗っけるスタイル。距離計や低速シャッターなどいらない。だんだんと志向がプリミティブになっていく。行き着くところはピンホールか?