シチューはカレーにばけた。

パソコンを見ていて気がついた。罫線がゆがんで見える。おそるおそる右目を隠して見る。ゆがみはなおらない。

やってしまった。3年前、もともと視力のなかった右目に追い討ちをかけるように眼底出血がおこり使い物にならなくなってしまった。出血がおこると眼底が盛り上がり物を見るときに真っ直ぐな線がところどころゆがんで見えてしまう。出血がおさまっても盛り上がりはなおらない。それが網膜の中心部におこると物が物として判別できなくなってしまう。

根本的な治療がないため眼科医からは運だからしかたがないと言い渡されていた。それが、頼みの左目にもおこってしまったようだ。症状がでて3日目、重い腰を上げて医者に行く。

眼底検査をした結果、極微量の出血が見られるということだった。治療法はないのでとりあえず対処療法として出血を抑える薬をもらう。医者にもう一度「治療法はない」ということを説明される。

さすがに気がめいった。目が見えなくなるということは写真とかかわれなくなると言うことだ。今はまだ生活や仕事になんの支障もないが網膜の真ん中で出血することを思うと恐ろしくなる。しかもふせぐ手立てはない。医者は「出血するとして、どこに出血するかは運です」としか言わない。

毎日ブルーベリーの高い錠剤を飲んでいたのになあ。まあ、運である。しかたがない。目が見えなくなるその日まで写真を続けていくしかないのだ。42歳、身体にいろんなことが出てきてもおかしくない年齢でもある。

今はただ運がいいことにかけるしかない。大丈夫、いままでだってギリギリのところで運は僕に微笑んだ。