真夏にお鍋を食べて汗ひとつかかない不思議。

今週は昼間の撮影の後にバー特集の撮影で新宿ゴールデン街へ。30歳前後の若い経営者が増えて面白いお店が多くなっている。

ゴールデン街は20歳代の頃、年配者に連れられて行っていたが、この頃は足が遠のいていた。とてもじゃないが知っているお店以外は入る気にならない場所だ。

一時は寂れていたゴールデン街だが、地上げが治まり空いていたお店を若い人が借りるようになって、徐々に活気が戻ってきているらしい。撮影したお店はどれも魅力的だった。なにより店構えが入りやすいのがいい。今までのお店とうまく折り合っていて、新旧オーナー同士の仲もいいらしい。

間口の狭い、ひとりで切り盛りするようなお店の家賃は10万円から。内装は自分たちで100万円かけずにやってしまい、300万円ほどの資金があれば自分のお店が持ててしまう。それも新宿の一当地にだ。借金がないぶんだけリスクが小さくてすむ。詳しくは来月発売の「TITLEL」にて。

土日は海に行く予定だったのにこの天気。しょうがないので暗室に入り先週撮影した姉妹のプリントを仕上げる。連れてきた友人によると、彼女たちは撮影がお気にめさなかったらしい。どうもポーズをつけてタレント気分を味わいたかったらしいのだ。そういえば近頃、その手の写真を撮ってくれるお店が増えている。

ところが僕の撮影では満足にポーズもつけさせてもらえず、手抜きで証明書写真のような写真を撮られたと思っているのだ。

16歳と18歳。人生の中で第一次ピークをむかえている頃だ。まさか自分が老いていくなど思いもしない。しかし確実に年月は過ぎる。10年、20年たって派手なポーズをつけた写真は恥ずかしくて見るに耐えないだろう。若い時の過ちと言ってはオーバーだが、とても自分の子どもには見せられないはずだ。

僕の取った手法は、アングルは真っ直ぐにカメラを見据えてもらって、照明はカメラ後からフラットに面であてる。派手さはないが全てを写しこむ方法。後はモノクロで丹念に丹念にプリントする。仕事で女優を撮る時となんら変わることはない。

今は彼女らに気に入ってもらえなくても、20年後取り出して見たら自分が16歳であり、18歳であったことを素直に実感できる写真だと信じている。

写真は表面しか写らない。だからこそ、その表面をいかに写すかということにいつも全力を傾けているのだ。