ジンギスカンのタレで作る肉野菜炒め。

朝11時半、アシTの電話で目が醒めた。暗室10時半集合と言っておきながら、すっかり眠りこけていた。起きてからも頭がボーッとする。撮影の予定がない日でよかった。

午前中の用事はあきらめて現像所に上がりを引き取りにいく。配達が待っていられないのだ。海外で撮影するということは、手荷物のX線検査を受けなければならいということだ。被爆している可能性がゼロとはいいきれない。テロの警戒が強まって以来、空港のX線検査によるフィルムの被爆報告が写真家協会に数多く寄せられている。

通常はシグマという機械を通さなければ100回通したところで大丈夫ということだが、安心はできない。ハンドチェックをしてくれと以前ヨーロッパで30分以上ねばったことがあるが、「APもUPIもすべて検査を受けている。例外はない」の一点張りで頑としてうけつけてくれなかった。近頃はどの国でも同じようだ。

ところが日本だけはハンドチェックをしてくれる。カメラマンとしてはありがたいが、テロ対策という面ではどうなんだろうね。

上がりは大丈夫だった。人物のモノクロポートレートも予想通りの濃度に仕上がっていた。ようやく肩の荷がおりる。モノクロプリントは「ベルゲール」という銘柄を使ってみることにした。テスト用に買っていたが手をつけていなかったのだ。

バライタの超厚手光沢紙で、若干ウォームトーンがかっている。焼きこんでも濃度があまり上がらない不思議な印画紙だ。ドラマチックな写真よりも全てのトーンが揃っているファインプリント向きかもしれない。

始めは苦労して1カット7,8枚焼いていたが、その後はコツをつかんで2,3枚でおさまるようになった。使い心地はどうかといえば、癖が多い印画紙だと思う。ただ一日たって、完全に乾燥しないとバライタはトーンが変るから、まだ良し悪しは分からない。

モノクロプリントをしているとあっという間に時間が過ぎる。パソコンに向かって写真を作るよりも肉体労働的なところが心地いい。