とりあえず、今日もギャラリーに行くつもり

声がボイスチェンジャーをかけたようにハスキーになっている。というと聞こえがいいが普通に言えばガラガラ。

たまに咳が出るが、別に喉が痛いとか体の調子が悪いわけじゃないが、声が出づらい。近頃の乾燥としゃべり過ぎで喉を痛めたようだ。

この調子で在廊すべきか悩む。ギャラリーに来てくれたお客さんをガラガラ声で迎えたら引かれるよな。

明日16水曜日、ギャラリーは21時まで開けている。ここ数年やっているのだが、仕事帰りに来られるので評判がいい。

明日までガラガラ声は直しておきますのでお越しください。いただいたワインもあるので、食べ物を持ち込んでもOK。

写真集を僕の本棚からたくさん持って来ているので、それを肴にゆっくりしていってください。

写真集を話す会

ギャラリー冬青でやっている僕の写真展では、毎週水曜日だけ21時まで開けてもらっている。

昨夜は冬青企画のイベント「写真家の本棚」だった。昨年の写真展の同企画では書籍中心だったので、今年は写真集を40冊持ち込んだ。

集まっていただいた皆さんに、こんなお題を出した。
「この中から、あなたの好きな一冊を選んでください。次に、渡部がこの中でもっとも好きな三冊をすでに決めてありますので、それを当ててみてください。一冊でも当たった方には特製トートバックプレゼント」

1時間ほど写真集を見るのだが、自分が好きと、渡部が好きだろうという両方の見方を要求される。

その後一人づつ写真集をあげてもらい、なぜ選んだのか話してもらう。僕はその本を購入した背景を説明していった。

人気があったのは奈良原一高、サラムーン、アレックソス、上田義彦、ロバートフランク、北井一夫など。

最後に僕が好きな三冊を発表。さすがに全部当てた方はいなかったが、けっこう当てられてしまった。昨夜は写真集愛を語る会になってしまった感じだ(笑)

1月16日と23日水曜日も21時まで開いています。写真集をネタに話をしにきませんか。予約は不要ですので、仕事帰りにお立ち寄りいただければうれしいです。

カラープリントにかこまれるのは新鮮

ギャラリー冬青イベント「作家の本棚」を1月10日水曜日とアナウンスしていましたが、すいません9日水曜日です。

始まりました。

ギャラリー冬青でやるのもこれで10回目。ここ数年は毎年1月にやらせてもらっている。展示のためにギャラリーを探す必要がないというのは、かなり恵まれている。

ここ数年は毎日ギャラリーに通うことにしている。開店(というのか?)から閉店まで座っている。いつも書き物でもしようとするのだが、途切れずにお客さんが来てくれるので書けたためしがない。とってもいいことだけど(笑)

座っているだけで情報がたくさん入ってくる。これが後々重要になることが多い。昨年ルデコのグループ展に来てくれて本質をついた言葉を残してくれた10歳の女の子がまたしてもいいコメントをくれた。自分がやってみようとしていることを言い当ててしまう。なんでわかるんだろう?

「トンネルに入ったり出たりを繰り返す、振り返ったりを繰り返す。人生もその繰り返しなのかなぁ。わたしはまだまだ体験して感じたことはないんだけど。トンネルや線路じゃない写真も、人が死んでしまうことや生まれること、生きていて人が出来ること、生命、懐かしさ、そういう「人生」みたいなことを感じた」

昨年ルデコのl時のコメント http://satorw.hatenadiary.com/entry/2018/10/01/121453

もうひとりここ10年以上ずっと見てくれている人のコメント。
「写真家・渡部さとるさんの個展を見に行ってきた。昨年、一昨年の展示作品は、渡部さんが「立ち止まっている」という感じがしていたので、私は彼が前に進み出すのを期待していた。今年の作品をb見て渡部さんが前に進んだことを確認した。「大きな一歩」だと思った。このあとの彼の作品がどうなっていくか、もの凄く楽しみになった。

いままでの渡部さんの作品はほぼモノクロオンリーという感じであったが、今回は展示作品28点全てがカラー写真。このことひとつとっても大きな変化だと思う。

もちろん、一人の作家の「個性」ががらっと変わるはずもなく、渡部さんらしい写真だと思うが、ずっと見続けてきた人間の目には小さくない変化があったことが見て取れるはずだ。

私は会期中毎日でも見に行きたい気持ちなのだが、妻から「迷惑になるから辞めた方がいいよ」と言われた(笑)。妻の忠告を受け入れ、5回程度にしておこうと思う。

彼が70歳になったときにどんな作品を撮っているのかいまから楽しみだ。それを見るためにあと12年間は生きないと(笑)。ちょうど娘の成人式までだ」


会期は始まったばかりだが、良い感じのスタートとなった。

明日土曜日は14時くらいから冬青に在廊します。



 

いい天気

あけましておめでとうございます。

穏やかなお正月。元旦から銭湯に行ってきました。

今年で58歳になります。18歳で東京に出てきて40年もたつんだな。もう実質的に職業カメラマンとしての仕事は終わったと言ってもいい頃です。

つまり23歳から35年間「役にたつ写真」を撮って生きてきたわけだけど、これからは「役に立たない写真」で生きていこうと思っています。

4日から始まる冬青での写真展案内文が今の気持ちそのものです。

今年もよろしくお願いいたします。


あ、今年やりたいことがひとつあって、それはウクレレ旅をすること。小さな忘年会でラオスがいいんじゃないかということになりました。

「IN and OUT」
1月4日から
ギャラリー冬青

右があれば左もある。
晴れている日もあれば、雨が降っている日もある。
うまくいくこともあれば、途方にくれることもある。
出会う人もいれば、別れる人もいる。
外に出たい日もあれば、家でじっとしていたい日もある。
何かが撮りたくて撮るんじゃなくて、
撮るために何かを探すことだってある。
何かを伝えるためじゃなく、
自分でもよくわからないけど撮ったもの。
何かを写したものじゃなくて、何かが写っているもの。
役割を持たされた写真じゃなくて、写真が写真である写真。
そんな写真を撮ってみたい。

 

2018年もあと4日 今日は大掃除

今年も1年振り返ってみる。しばらく前からやっているから20年もたつと面白いかな。

1月 ギャラリー冬青「2Bとマンデリン そして僕はこの町を離れる」毎日規則正しく出勤。冬青企画の「写真家の本棚」本を見せるのって恥ずかしい。タイトルにある「マンデリン」はずっと通っている「プアハウス」で飲むコーヒーのことだ。

2月 写真展終了翌週に米沢へ。モノクロで撮っていたのだが、たまたま撮った車窓の動画を見て「これは、、、」と思う。ワークショップ2B58期が終了。最後のプリントが済むと暗室解体を始める。ほぼすべての引き伸ばし機や備品を放出。

3月 2Bさよならパーティ。15年の幕を閉じる。26日の57歳の誕生日をもってスタービルを出る。ウクレレを始める。香港アートブックフェア。完売伝説続く。アートバーゼルやガゴシアンなどのトップギャラリーを見て回る。

4月 ワークショップHが始まる。2Bロスはなし。やる気満々。ネコが2匹やってくる。雨太郎と月子と名付ける。

5月 屋久島合宿ワークショップ 。3日間朝から晩まで写真漬け。体を整えようと、リハビリ外来へ。先生に体を診てもらったら「生活に支障がでるくらいの筋力不足」と診断される。

6月 張り切ってジム通いをしたら右肩に激痛が走り、動かなくなってしまった。緊急措置でステロイドを注射。フジコヘミングのコンサートに行く。

7月 肩はよくなったものの。右手と右足の裏の皮膚がボロボロとはがれる。かゆみがひどい。皮膚科に行くと「体から毒が出ている状態」と言われ、ステロイド剤を含む大量の薬を処方される。視力が大幅に低下。以前手術した眼科に行くが「どうしようもない」精神的にも不安定に。因果関係はないがステロイドのせいなのかなと思ってしまう。

8月 毒が出ているのに薬を飲むのは何か違和感があったので、まずお酒をやめ、食べ物に気をつける生活をする。3週間で症状は改善。2ヶ月で元にもどった。米沢へ。

9月 ルデコジャック。4フロアを使った展示。土曜日のパーティではウクレレ発表会。高円寺小杉湯での写真展を見にいってから銭湯にはまる。週5回くらい行くように。

10月 日曜日講座で「気功」をやる。体操のようなものだが、それから毎朝やるようになった。

11月 暗室再開。レンタル暗室を始めて使う。米沢へ。

12月 出雲旅行。温泉津に泊まり、石見銀山へ。5年前の同じ日に同じ場所にいたことがfacebbokで判明。東京に出てきてからずっと通っていた「プアハウス」が閉店。「2Bとマンデリン そして僕はこの町を離れる」という1月の写真展のタイトルどおりになってしまった。布に印刷できる新型プリンターリコーRi100を導入。

今年を漢字一文字で表すなら間違いなく「変」。

生活は変わるし、体調は変になるし、前半はどうしようもなかった。無理して強がっていたものの、7月にポキッと折れた。視力の低下はかなり問題で、もはやカメラマンとしては使い物にならない。早期定年のようなものだが、退職金は出ない(笑)

9月くらいから回復し、後半は色々なことが上向きになる。今年始めたことのひとつにウクレレがある。3月から始めてまだ続いている。1曲弾けるようになると、1曲忘れるの繰り返しだが自分にあっているようだ。

銭湯と気功体操のおかげか、あきらかに体調がよくなっている。疲れないし、よく眠れて、寝起きがいい。お酒も残らない。ただし銭湯で血圧を測ると湯上がりは上が80下が40なんてときがある。低けりゃいいてもんでもないだろうが、血圧を上げる方法はどこにも出ていないし、体調がよければ問題ないと思うことに。

来年の秋頃を目処に書籍の出版が決定。今年9月からずっと編集者からインタビューを受け、全体の内容が固まったので書き始める。仮タイトルも決まり現実味が出てきた。来年は写真集も作りたいので、それはこれからプレゼン。年明け1月は恒例となった冬青での写真展。これで10回目。2月には青森でのワークショップが決まっている。

来年も、どうぞ よろしくお願いいたします。

タイトルの「IN and OUT」の意味は「出たり入ったり」

今年最後のワークショップも終わり、24日はギャラリー冬青の搬入。といっても社長とスタッフのかたがやってくれるのを見ているだけ。

冬青でやるのは今回で10回目になる。今年はカラープリント28枚。カラーだけというのは冬青では始めて。これまでの展示は、ほぼモノクロだけなのだが、2006年に一度だけ「ちめんかのや」という中野区沼袋にあるギャラリーでオールカラーをやったことがある。

なぜそうなったかのかは、昨日北桂樹さんがインタビューしてくれて、後日テキストをアップしてもらうので後ほど。話せば長いのでありがたい(笑)


冬青での展示の詳細はこちらにアップしておきます。会期や地図もあります。
https://workshop2bn.themedia.jp

1月9日水曜日19時からは昨年に続き冬青企画「写真家の本棚」をやります。前回は書籍が中心でしたが、今回は写真集を持ち込みます。数ある写真集の中から特に影響を受けたと思われるものを30冊くらい持ち込みます。
要予約 冬青社まで
tel.03-3380-7123
fax.03-3380-7121 
e-mail:gallery@tosei-sha.jp

 

 

渡部さとる 写真展
「IN and OUT」
会期:2019年1月4日(金)~ 1月26日(土)
   11:00~19:00
(※毎週水曜日は11:00~21:00)
 日曜・月曜・祝日休廊
   
展示:Cプリント28点


「IN and OUT」
右があれば左もある。
晴れている日もあれば、雨が降っている日もある。
うまくいくこともあれば、途方にくれることもある。
出会う人もいれば、別れる人もいる。
外に出たい日もあれば、家でじっとしていたい日もある。

何かが撮りたくて撮るんじゃなくて、
撮るために何かを探すことだってある。

何かを伝えるためじゃなく、
自分でもよくわからないけど撮ったもの。
何かを写したものじゃなくて、何かが写っているもの。
役割を持たされた写真じゃなくて、写真が写真である写真。
そんな写真を撮ってみたい。

 

 

夏になったらTシャツ屋さんができそうだ

Hのワークショップでは2B時代と違い暗室作業がないから、何かをつくっている実感にかけるのではないかと思っていた。

かといってインクジェットプリンターで出力しても普通な感じで面白味にかける。そんなことを思っていたときに、リコーGR3の発表会で新発売のリコーのプリンターを使った「Tシャツ展」をやっているのを見て、これは面白いかもしれないと閃いてしまった。布地にプリントできる専用プリンター「リコーRi100」という機種だ。

 

白インクがないので黒や色物には印刷できず、白地か生成りしか選べないが、印刷性能はかなりいい。操作は簡単、場所もそれほどとらない。スモールビジネス用なんだろう、業務機という物々しさはない。

後日改めてショールームで印刷体験してみて欲しくなってしまった。価格は最新のミラーレス機にレンズをつけたくらい。僕にはカメラを買うよりも遊べそうだと思い、購入することにした。

金曜日に運び込まれ、週末のワークショップでさっそく使ってみた。今回の講座は「コラージュ」。来年は岡本淑子やジョセフ・コーネルなどコラージュの展示が控えているし「IMA」の写真も、その多くがコラージュ作品になっている。

現在の写真を考えたときに「解像度とレイヤー」の選択が鍵になっていると思っている。コラージュはレイヤーを作ることだし、切り貼りする色紙で作られる世界は解像度が低い。それを体験してもらえれば抽象度の高い表現に慣れてくると思っている。

最後は切り貼りした原画をスキャナーにかけデータ化する。それを買ったばかりのプリンターでトートバッグやTシャツにプリントしてみる。出来上がったものは完全オリジナルグッズになるわけだ。

コラージュは布地プリントとよく合う。目的を持って購入したわけではないが、結構面白く使えそうな気がしてきた。

伊勢屋は健在。お餅を買って帰る

43年続いた江古田の喫茶店が昨日で終わった。何度もこの日記に出てきた「POOR HOUSE」というお店だ。

 

東京に出てきてから38年間、週一度は通っていたから生活の一部のようなものだった。ここがなくなったときが江古田を離れるときだなと思っていたら、ほぼ同時に2Bもなくなってしまった。

 

がらんとなった店内を、不動産屋に鍵を返しにきた店主とながめる。こんな日が来るなんて。椅子や小物や食器は関わりが長かった人が引き取っていった。僕は大テーブルを、娘は看板を引き継いだ。

 

駅前を散歩すると、2Bが終わってから半年ちょっとなのに色々変わっていた。ランドマーク的存在だった「おしどり」も更地になっていたし、お好み焼きの「あんず」もなくなっていた。30年前に住んでいたマンションの大家さんでもある文房具屋さんで買物をしたら、僕のことを覚えていてくれて驚いた。

 

もう江古田に来ることはないだろうなあ。

朝は青森のりんごにヨーグルトをかけたもの。そのままだとつめたいのでレンジで温める。

暗室なう。

現像機が35度まであったまるのに1時間近くかかる。今日は1月の個展の最終プリント。もう納品済みなのだが、数枚差し替。出来上がりを帰りにギャラリーに持っていけば、あとは手を離れる。

毎日原稿を書いている。あっという間に4時間くらいたっていてびっくり。でもずっと同じことをやると飽きるので暗室にやってきた。貸してもらっている暗室にも徐々に慣れてきて落ち着けるようになってきた。

先週木曜日に上野に「フェルメール展」を見に行ってきた。時間制の入場のため並ぶこともなくすんなり入ることができた。一昨年の伊藤若冲の時は炎天下に5時間待ちとかあったからなのだろうが、混雑が予想される展示にはいいと思う。

ただし、ネットからのチケット入手方法が煩雑すぎ。最終的にコンビニで受け取るので最初からコンビニの端末で買った方が早い。

フェルメールの絵はワークショップのポートレート撮影の説明のときに頻繁に引用している。非常に写真的な光の扱い方をしているからだ。フェルメールのアトリエにはレンズのついたカメラオブスクラが設置されていたという話だ。

オランダに行った際にアムステルダムで「ミルクをそそぐ女」デルフトの美術館で「真珠の耳飾りの少女」と「デルフトの港」の、3点のフェルメールの絵を見ている。今度はデルフト美術館のものは来ておらず、計9点の絵画を見ることができた。

同時代、1600年中ごろのオランダ絵画も合わせて見ることができるのだが、全ての絵画において解像度が異様に高い。中判デジタルカメラで撮った8000万画素よりも細かいと思わせる。絵画なのに写真的に見えてしまう。

この時代のオランダ絵画は宗教色がないから見ていて気が楽だ。宗教絵画はどこか身構えてしまう。

デルフトの美術館で見た時は柵もないので「真珠の首飾りの少女」をガラスに鼻がつくくらいの距離で見れたが、今回はかなり距離があった。日本におけるフェルメール人気を考えれば仕方がないか。